フランシス・プーランク。1899年、大統領府エリゼ宮近くに住む、代々続く大企業の経営者の家に生まれ、三男にもかかわらず兄ふたりが早世したため家業を継ぐ使命を負わされ、音楽の勉学に進むことを断念せざるを得ませんでした。 しかし、第一次世界大戦以後の爛熟した文化の中心地パリで、音楽家のみならず、ジャン・コクトーなどの文化人、モディリアーニ、ピカソなどの画家、アポリネールをはじめとする多くの詩人たちが活躍する百花繚乱の中、類をな見ない軽妙洒脱、天真爛漫な作風を身につけて行きました。 若きプーランクがかの有名なディアギレフからバレエ『牝鹿』の作曲依頼を受けた事を知ったジャン・コクトーは、協力を申し出ますがそれを敢えて断り、プーランクは台本ナシで作曲を始めます。そして衣装と舞台美術を、淡いパステルカラーの優しい画風のマリー・ローランサンに依頼して素敵な舞台が仕上がります。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】フランシス・プーランク作曲『牝鹿』より第1曲 ロンドー ジャン=リュック・タンゴー/指揮 アイルランド国立交響楽団/演奏 イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 ピアノ/江澤隆行...
Mar 10, 2023•6 min•Season 3Ep. 84
クロード・ドビュッシーか愛好したヴェルレーヌの詩集『雅なる宴』は、前世紀の曲線的、装飾的で甘美な「ロココ絵画」と呼ばれるジャンルの創始者アントワーヌ・ヴァトーの芸術性の高い作品が、ヴェルレーヌの詩作に少なからす影響を与えたに違いありません。 「詩のリズム、言葉の響きとの戯れ、音楽への明示的な言及により、詩そのものが歌のような雰囲気を醸し出す」というヴェルレーヌ自身の言葉のように、ドビュッシーはその詩を素晴らしい音楽に昇華させました。 『雅なる宴』の一節 Cependant la lune se lève Et l’esquif en sa course brève File gaîment sur l’eau qui rêve. 見事に綺麗な韻を踏んでいます。 評論家のジャック=アンリ・ボルネック(Jacques-Henri Bornecque)は、優しいものから皮肉なものまで、さまざまな場面や出会いを表現した22編の詩が収められているこの詩集を『小組曲』と呼んだそうです。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】クロード・ドビュッシー作曲『小組曲』より「小舟にて」 ピアノ/江澤隆行 イン...
Mar 03, 2023•13 min
ドビュッシーが9歳の時、後に出会う詩人ヴェルレーヌの義母アントワネット・モテ・ド・フルールヴィル夫人に、ピアノのはじめ、基礎的な音楽の手ほどきを受けます。 その後ドビュッシーは、ヴェルレーヌの流麗でリズミカルな詩作に惹かれ、たくさんの歌曲を生み出すことになります。 中でも『雅なる宴 (Fêtes galantes)』は特にドビュッシーのお気に入りで、ローマ大賞受賞してローマに滞在する際も携えて行くほどで、『小組曲』はその詩集からのインスピレーションを得られた、とあります。 その一節 Cependant la lune se lève Et l’esquif en sa course brève File gaîment sur l’eau qui rêve. と、見事に綺麗な韻を踏んでいます。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】クロード・ドビュッシー作曲『小組曲』より「メヌエット」「バレエ」 ピアノ/江澤隆行 イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 ピアノ/江澤隆行 【提供】笹川日仏財団...
Feb 24, 2023•13 min•Season 3Ep. 82
クロード・ドビュッシーの生家があるサン=ジェルマン=アン=レー(Saint-Germain-en-Laye)は、パリの西に位置し、1124年、ルイ6世によって最初の城塞が築かれてから1689年に国王ルイ14世がヴェルサイユに移り住むまで、王の居城であった由緒ある土地です。 しかし、父親の仕事の都合の他、パリ・コミューンに参加して捕らえられたりなど、家庭の事情でドビュッシーが8歳の頃には南仏カンヌの叔母の元で暮らすことになります。そこでの学校関係など初等教育の資料などもあまり残っておらず、後年、ドビュッシー本人もほとんど語らなかった、と。 そのような境遇は、その後のドビュッシーの人格形成に影響を及ぼさなかったのでしょうか.‥。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】クロード・ドビュッシー作曲『小組曲』より「行列」 ピアノ/江澤隆行 イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 ピアノ/江澤隆行 【提供】笹川日仏財団
Feb 17, 2023•12 min•Season 3Ep. 81
セザール・フランクがいかに無欲、善良、つまり聖者のような人物だったかという人間性については数多くの人の証言があリます。 彼を間近で観察し続けた作曲家のヴァンサン・ダンディは「彼の作曲の動機は、栄光でもなく、金でもなく、安易な成功でもなかった。彼の目的は、芸術を手がかりに自らの思考と感情を表現しようとすることだった。そして、何よりも真の意味で彼は謙虚な人だった」と語っています。 かのドビュッシーは、パリ音楽院在籍中、一時期フランクの和声クラスに属したものの、正統でアカデミックなフランクの教えについて行けず、教室から逃げ出し、別な部屋で自分の好きなハーモニーを引き続けていた事があった時も「好きなだけ好きな和音を弾くといい」と許容したそうな...。 しかし、ドビュッシーがフランクについては深い敬意を持ち続け、彼が嫌ったワーグナーに唯一対抗しうる「フランス音楽」の作曲家という評価もしていた、とも‥.。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】セザール・フランク作曲『ヴァイオリン・ソナタ』第二楽章 西崎崇子/ヴァイオリン イェネ・ヤンドー/ピアノ イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 ...
Feb 10, 2023•9 min•Season 3Ep. 80
ヴァイオリン・ソナタのピアノパートといえば、ともすればヴァイオリン・ソロに従属的であることが多い中、フランクのソナタの場合、ソロに寄り添う場面もあるものの、そのピアノ・パートの音楽的な雄弁さは、ピアニストにとっても興味深いのでしょう。 その証左として、枚挙に暇(いとま)がないほど、歴代の名ヴァイオリニストと共に名ピアニストたちが録音を残しています。 ティボー/コルトー(1929年録音) ハイフェッツ/ルービンシュタイン(1937年録音) オイストラフ/リヒテル(1968年録音) ギトリス/アルゲリッチ(1977年録音) などなど...。因みに、コルトーはピアノ独奏用に自ら編曲しています。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】セザール・フランク作曲『ヴァイオリン・ソナタ』第四楽章 西崎崇子/ヴァイオリン イェネ・ヤンドー/ピアノ イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行 【提供】笹川日仏財団...
Feb 03, 2023•14 min•Season 3Ep. 79
当時のフランスの音楽界にとって、ワーグナーの音楽は全く異質であったが故に、作曲家たちはこぞってドイツまで出かけ、ワグナーオペラの体験をしたようです。心酔するもの、影響を受けるもの、拒絶するものと、反応もまちまちでした。 そんな中、フォーレは作曲家仲間のメサジェと《バイロイトの思い出( Souvenirs de Bayreuth )》(お気に入りのワグナーの主題によるカドリーユ風の幻想曲)という、『ワルキューレ』から『神々の黄昏』のテーマを網羅したピアノ連弾曲を書きます。 カドリーユ(Quadrille)とは17世紀に流行した4人一組で頻繁に相手を替えて踊る舞踏のことで、多分にワグナーの音楽を揶揄しているのでしょうか‥。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】ガブリエル・フォーレ作曲『ドリー組曲』より「スペインの踊り」 江澤隆行/ピアノ イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行 【提供】笹川日仏財団
Jan 27, 2023•17 min•Season 3Ep. 78
ガブリエル・フォーレは、パリ・マドレーヌ寺院のオルガニストとしてサン=サーンスの後任に指名されるほどの優秀なオルガン奏者であり、パリ音楽院の作曲科教授に就任してからもモーリス・ラヴェルなどの人材を育て、その後パリ音楽院院長も務め、学士院会員にもなる、という、勤勉、実直で人望も厚かった人物像が浮かび上がります。 その音楽は、当時フランスに吹き荒れたワーグナーの鮮烈な風を、許容し受け入れつつも、直接的な影響をあまり受けないという、教育者としての毅然としていた稀有な存在でもあったようです。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】ガブリエル・フォーレ作曲『ドリー組曲』より「ミ・ア・ウ」「ドリーの庭」 江澤隆行/ピアノ イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行 【提供】笹川日仏財団
Jan 20, 2023•15 min•Season 3Ep. 77
画家が、絵に描きたい、描いておきたいという衝動にかられるは、自分の脳裏に留めておくだけではなく、その美しさを誰かに伝えておきたいという思いなのではないかと邪推します。 では音楽は、といえば、そこまで具象ではないにせよ、やはり敢えて何かを伝えておきたいという、意志や意図が曲に潜在しているのでしょう。まして、その対象が愛らしい女の子であったなら、なんとも淡い夢見心地の曲想になるのでしょうね。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】モーリス・ラヴェル作曲『マ・メール・ロワ』より「眠れる森の美女のパヴァーヌ」、ガブリエル・フォーレ作曲『ドリー組曲』より「子守唄」 江澤隆行/ピアノ イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行 【提供】笹川日仏財団
Jan 13, 2023•16 min•Season 3Ep. 76
セザール・フランクはベルギー生まれながら、現在ではフランス音楽の代表的な作曲家と位置付けられています。 存命中はパリ音楽院の教授や教会のオルガニストとしては著名でしたが、意外にも作曲家としての評価はあまり芳しくなかったようで、同時代のグノーやサン=サーンスからは辛辣な言葉を浴びせられました。 この時期、斬新な転調、半音階的進行などを駆使したワーグナーの手法に出会って、その影響を色濃く受けたせいかも知れません。 しかし、フランク独自の巧緻な筆致に新たな語法と洗練が加わり、フランクの音楽は大きく飛躍して、この交響曲に結晶しています。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】セザール・フランク作曲『交響曲 ニ短調』第一楽章 ギュンター・ノイホルト/指揮、ロイヤル・フランダース・フィルハーモニー管弦楽団/演奏 イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行 【提供】笹川日仏財団
Jan 06, 2023•10 min•Season 3Ep. 75
ハイドン、モーツァルトと伝統的に踏襲されてきた、機能和声の立体感のあるスクエアな構築性の拡大とも取れる4楽章形式の交響曲。ベルリオーズなどの例外はあるものの、その枠の中に止まる、あるいは留まらざるを得ない必然性があったのでしょう。 しかし、フランクに至って、4楽章の四角い立方体から、主題が繰り返し現れる循環形式の3楽章三角錐の重なりのようなシンメトリーな形に変容します。音楽的な盛り上がりも楽章の終わりを目指すのではなく、山の峰を俯瞰するが如く、多様に調性やオーケストレーションを替えて、繰り返し繰り返し現れます。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】セザール・フランク作曲『交響曲 ニ短調』第三楽章 ギュンター・ノイホルト/指揮、ロイヤル・フランダース・フィルハーモニー管弦楽団/演奏 イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行 【提供】笹川日仏財団
Dec 30, 2022•9 min•Season 2Ep. 74
セザール・フランク(セザール=オーギュスト=ジャン=ギヨーム=ユベール・フランク(César-Auguste-Jean-Guillaume-Hubert Franck)は、現在のベルギー王国リエージュ(当時のネーデルラント連合王国)、時代によって国境線が目まぐるしく塗り変わり、多様な言語が入り交じる地域で、ドイツ系の家系に生まれました。 フランスに赴いてパリ音楽院への入学を志しますが、外国人と言う理由で音楽院長のケルビーニに一度は入学を拒否されるものの、前年チェロで例外的に入学を許されたプロイセン王国(現ドイツ)から来たオッフェンバッハの例を引き合いに出し、特別に入学を許可された経緯があります。後に、パリ音楽院の教授に任命された折は、フランス国籍を取得しています。 このような自らのアイデンティティーの多様さが、フランクの音楽に影響しているのは否めないのかもしれません...。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】セザール・フランク作曲『交響曲 ニ短調』第二楽章 ギュンター・ノイホルト/指揮、ロイヤル・フランダース・フィルハーモニー管弦楽団/演奏 イントロ&エンディング ドビュッシー『小さ...
Dec 23, 2022•15 min
セルゲイ・ディアギレフ。ロシアバレエ団(バレエ・リュス/Ballets russes)を率いて大成功を収めた辣腕興行師のように伝えられる事が多いようですが、ディアギレフはロシア貴族の出で、深く広い教養を持つ先見性に満ちた人物だったようです。 まだ二十代のロシア人作曲家ストラヴィンスキーにロシア民話を題材にした『火の鳥』、直後には『ペトルーシュカ』を依頼、パリで大成功を収めます。 同じ時期、早くからその才能に注目していた若いラヴェルにも『ダフニスとクロエ』の作曲を依頼するなど、これらの作品群はパリを中心に、その時代の音楽の本流となって行きます。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】モーリス・ラヴェル作曲『ダフニスとクロエ』第3場「全員の踊り」 レナード・スラットキン/指揮、フランス国立リヨン管弦楽団/演奏 イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行 【提供】笹川日仏財団
Dec 16, 2022•14 min•Season 2Ep. 72
「スイス製の時計のような...」という、ストラヴィンスキーの言葉を借りるまでもなく『ダフニスとクロエ』のスコアに書き込まれた音符の精緻さは、あたかも点描の絵画から朧(おぼろ)げな輪郭が浮び上がるように綿密に計算されて並べられいて、全曲版の分厚いスコアを俯瞰して湧き上がって来る音は、絵巻物を見ているようです。 作曲を依頼したディアギレフは、その情景の色彩のみならず、均一ではない空気の漂いや淀みまでを感じさせ、音符という記号の積み重ねでそれを体現するというラヴェル素晴らしい能力をここまで予見していたのでしょうか。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】モーリス・ラヴェル作曲『ダフニスとクロエ』第3場「夜明け」 レナード・スラットキン/指揮、フランス国立リヨン管弦楽団/演奏 イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行 【提供】笹川日仏財団
Dec 09, 2022•15 min•Season 2Ep. 71
モーリス・ラヴェルの最後の棲家があるモンフォール=ラモリー(Montfort-l'Amaury)は、パリの西、ヴェルサイユ宮殿の広大な庭園の脇を走り抜けて間もなくの、小さな村です。 その家は傾斜地にある為、町や周りの森を見渡せる居間の階から、小さな螺旋階段を降りた庭に面したところに寝室があります。 ラヴェルは、夜眠れず森を散歩したりする事も多かったとの事。昼間眠るためか、その部屋は地中海の薄明るい夜のような淡い黄色に塗られていて、壁の四隅にはコリント式の柱頭が描かれています。窓の雨戸(volée)には星と三日月がくり抜かれ、そこから光が漏れて、夜空に輝くような演出。これらは総てラヴェル自身が自らの手で作業をしたのだと。 この不思議な色彩感の空間の中、ラヴェルは天蓋の付いた小さなベッドの上で、若いころ作曲した『ダフニスとクロエ』の舞台になったギリシャへ憧憬を思い出すのでしょうか。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】モーリス・ラヴェル作曲『ダフニスとクロエ』第3場「パントマイム」 レナード・スラットキン/指揮、フランス国立リヨン管弦楽団/演奏 インタビュー/トマ・プレヴォ 元フランス国立...
Dec 02, 2022•10 min•Season 2Ep. 70
増四度の不明瞭な浮遊感を保ちつつ、輪郭の曖昧な世界を創り出す才能。 それまで多くの作曲家が、少しずつ拡げて来ていたハーモニーの流れや拡がりを、一気に未知の方向性に踏み込んだのは、やはりドビュッシーのエキセントリックとも思える性格や行動とは無縁ではないのでしょう。 その流れは、ラヴェル、プーランクを経て、遥かオリビエ・メシアンの不可思議な世界へと伝わって行きます。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】クロード・ドビュッシー作曲『牧神の午後への前奏曲』 中田昌樹/指揮、エルムの鐘交響楽団/演奏 インタビュー/トマ・プレヴォ 元フランス国立放送管弦楽団 フルート主席奏者 イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行 【提供】笹川日仏財団
Nov 25, 2022•27 min•Season 2Ep. 69
サン=サーンスは3曲のヴァイオリン協奏曲を作曲しましたが、第二番を書き上げた後、第三番に着手するまでに20年の月日が流れます。 その間、協奏曲に限ってもピアノ協奏曲2曲、チェロ協奏曲と、妙技/名人芸をふんだんに盛り込み、技巧的にも難しい名作を生み出していました。しかし、何故か、この第三番にはヴァイオリンにとって腕前を衒(ひけらかす)ような複雑な重音奏法や超高速のパッセージはほとんどなく、むしろヴァイオリンの豊かで芳醇な音色と、サラサーテが得意とされたハーモニックス奏法(倍音)で奏でる舞い上がるように透き通った高音で全曲が満たされています。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】カミーユ・サン=サーンス作曲ヴァイオリン協奏曲第三番 ロ短調 第一楽章 パトリック・ガロワ/指揮 ファニー・クラマジラン/ヴァイオリン シンフォニア・フィンランディア・ユヴァスキュラ/演奏 インタビュー 破魔澄子 元フランス国立管弦楽団 ヴァイオリニスト イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行 【提供】笹川日仏財団...
Nov 18, 2022•20 min•Season 2Ep. 68
サン=サーンスと親交が深かったサラサーテは、現在スペイン領ナバラ州で生まれたバスク人。フルネームはバスク風に父方/母方の両方の姓を名乗るパブロ・マルティン・メリトン・デ・サラサーテ・イ・ナバスクエス(Pablo Martín Melitón de Sarasate y Navascuéz)。 マドリードの音楽院で学び、10才のときにスペイン女王イサベル2世の前で演奏を披露し、続いてパリ音楽院に入学、13才で卒業する神童振りを発揮します。 フランスを中心に活躍するも、独特の文化/言語を持つ故郷のバスク地方の音楽への関心も強く、ソルツィーコ( zortziko) という5/8拍子(1+2+2)の伝統的な舞曲を一般に分かり易いように3/4拍子の記譜に直し、リズムを微妙に揺らして、本来の5/8拍子のように弾いて見せたそうです。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】カミーユ・サン=サーンス作曲ヴァイオリン協奏曲第三番 ロ短調 第二楽章 パトリック・ガロワ/指揮 ファニー・クラマジラン/ヴァイオリン シンフォニア・フィンランディア・ユヴァスキュラ/演奏 インタビュー 破魔澄子 元フランス国立管弦楽...
Nov 11, 2022•17 min•Season 2Ep. 67
モーツァルトと再来とも言われた早熟の天才サン=サーンス。若くしてパリ音楽院を卒業し、作曲家としての活動のかたわら、弱冠23才でその後20年間務めることになるパリ・マドレーヌ寺院のオルガニストという名誉ある地位に就きます。 その頃、13才でパリ音楽院したばかりの天才ヴァイオリン奏者サラサーテに出会い、お互いの才能を敬愛し合い、度々一緒に旅行するほど意気投合したようです。 バスク地方に生まれ、スペイン文化の影響を受けて育ったサラサーテの為に、サン=サーンスはさっそくスペイン風の『カプリス(奇想曲)』を作曲します。 そのテーマは20年以上後に書かれ、サラサーテに献呈されたヴァイオリン協奏曲第三番の第三楽章冒頭に用いられています。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】カミーユ・サン=サーンス作曲ヴァイオリン協奏曲第三番 ロ短調 第三楽章 パトリック・ガロワ/指揮 ファニー・クラマジラン/ヴァイオリン シンフォニア・フィンランディア・ユヴァスキュラ/演奏 イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行 【提供】笹川日仏財団...
Nov 04, 2022•12 min•Season 2Ep. 66
ドビュッシーが『海』の作曲を始めてから初演に至るまでには、三年という長い時間が費やされました。 海からは遠く離れた、ブルゴーニュ地方の妻リリーの実家で作曲を開始。直後、パリに戻ったところで裕福な銀行家夫人と出逢い、たちまち恋に落ちて、ジャージー島、ノルマンディと、海の近くに旅立ちます。 パリに戻ったところで、リリーの知るところとなり、彼女はなんとコンコルド広場でピストル自殺を計ります。未遂に終わったものの、親しい友人たちの多くはドビュッシーのもとを去って行った、と。 第二曲の水面を吹き抜ける風を思わせる流麗な音の流れに比べて、第三曲目の荒々しい海を思わせる曲想は、そんな周りの状況が微妙に影響しているかもしれません。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】クロード・ドビュッシー作曲『海』第3曲「風と海の対話」 準・メルクル/指揮、フランス国立リヨン管弦楽団/演奏 イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行 【提供】笹川日仏財団
Oct 28, 2022•7 min•Season 2Ep. 65
『海』のオーケストラスコアを俯瞰すると、今までの規則通りに整然と並んでいた音符たちとは全く違う音型/配列で、とても変化に富んでいます。 それは、取りも直さず、ドイツ的な起承転結で均整の取れた機能和声ではなく、むしろそれまで禁則とされていた和声の並行五度/八度の使用、教会旋法や不安定な増音程などを多用していることで、すっかり違う風景になってしまっているのですね。 初演にあたって、指揮者のカミーユ・シャヴィヤールのみならず、オーケストラの奏者たちも、画期的ではあれ、あまりに革新的なドビュッシーの書法に、直ぐに対応出来なかったであろうことは、想像に難くありません。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】クロード・ドビュッシー作曲『海』第1曲「海上の夜明けから正午まで」 準・メルクル/指揮、フランス国立リヨン管弦楽団/演奏 イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行 【提供】笹川日仏財団
Oct 21, 2022•12 min•Season 2Ep. 64
三部からなる管弦楽曲で、交響詩『海』と呼ばれることもありましたが、原題は La Mer, trois esquisses symphoniques pour orchestre(管弦楽のための3つの交響的素描)とあり、フランツ・リストが提唱した自由な発想における管弦楽曲、という枠を超えた、より具体的な表現になり、各楽章ごとに表題も添えられています。 しかし、その表題も、作品がほぼ完成し、出版間際になって変更しました。 例えば第一楽章「サンギネール諸島付近の美しい海(Mer belle aux Îles Sanguinaires)」(作曲のきっかけになったと思われるカミュ・モクレール小説の題)から「海上の夜明けから真昼まで(De l'aube à midi sur la mer)」のように。 それは、自身も語っているように、『総て頭の中にある海の記憶』で、ブルゴーニュ地方の山あいで作曲を始め、のちに訪れるジャージー島やノルマンディ地方の海を目の前にして、何某か変化があったからなのでしょうか‥。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】クロード・ドビュッシー作曲『海』第2曲「波の戯れ」 準・メ...
Oct 14, 2022•8 min•Season 2Ep. 63
《カルメン》の登場人物といえば、タバコ工場の女工たち、密輸業者、流れ者、終いには恋人を刺し殺す輩。「これでは観客が逃げ出してしまう! オペラコミックは家族で楽しむ劇場なのだよ。有り得ないことだ!」というコメントをオペラコミック座支配人 ルドルフ・ル・ルーヴェンが出した程で、初演の反応は冷淡で、その真価が理解されるのは、1878年1月2日のブリュッセルの公演以降であったとか。ビゼーの友人の作曲家ギローが、台詞で進行する部分をレチタティーヴォに改編してグランド・オペラ形式でのウィーン公演を機に、一躍人気が広まりました。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】ジョルジュ・ビゼー作曲『カルメン』より「ジプシーの歌」「花の歌」「セギディーリャ」 中田昌樹/指揮 マリアンヌ・デラカサグランド/メゾソプラノ 後田翔平/テノール 田中俊太郎/バリトン 岩永美稚子/ソプラノ 山陰フィルハーモニー管弦楽団/演奏 イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行 【提供】笹川日仏財団
Oct 07, 2022•27 min•Season 2Ep. 62
フランスの劇場の歴史はルイ14世統治時代にまで遡り、1671年オペラ座が、1680年にコメディ・フランセーズが王立化されました。 ナポレオン帝政時代、オペラ座はレスタティーヴォを用いる伝統的なグランド・オペラと、台詞入りのオペラ・コミックの上演を各々の劇場に区分けされた。 オペラ・コミック座で初演された名作は、枚挙の暇がありません。 ベルリオーズ『ファウストの劫罰』1846年12月6日 ビゼー『カルメン』1875年3月3日 ドビュッシー『ペレアスとメリザンド』1902年4月30日 ラヴェル『スペインの時』1911年5月19日 プーランク『テレジアスの乳房』1947年6月3日 プーランク『人間の声』1959年2月6日 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】ジョルジュ・ビゼー作曲『カルメン』より「ジプシーの歌」「花の歌」「セギディーリャ」 中田昌樹/指揮 マリアンヌ・デラカサグランド/メゾソプラノ 後田翔平/テノール 田中俊太郎/バリトン 岩永美稚子/ソプラノ 山陰フィルハーモニー管弦楽団/演奏 イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行 【提供】笹川日仏財団...
Sep 30, 2022•25 min•Season 2Ep. 61
ジョルジュ・ビゼーは、1838年、音楽家の両親のもとに一人息子として生まれ、熱心で厳格な音楽教育を受けました。わずが9才でバリ音楽院に入学を許され、19才で若手作曲家の登竜門である《ローマ大賞》を受賞するという早熟さを発揮します。 《ローマ大賞》によってもたらされた、家族から遠く離れたイタリアでの厳しい規律や規則のないこの滞在が、ビゼーにとって自由であることの幸福、彼を取り巻く自然の美しいさをを発見することとなります。 「カルメンを作曲したビゼーは、ここイタリアで生まれたのだ」(l'association Les Amis de Georges Bizet /ジョルジュ・ビゼー友の会) 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】ジョルジュ・ビゼー作曲『カルメン』より「序曲」「闘牛士の歌」 中田昌樹/指揮 マリアンヌ・デラカサグランド/メゾソプラノ 後田翔平/テノール 田中俊太郎/バリトン 岩永美稚子/ソプラノ 山陰フィルハーモニー管弦楽団/演奏 イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行 【提供】笹川日仏財団...
Sep 23, 2022•25 min•Season 2Ep. 60
1918年3月25日、ドビュッシーが亡くなった日、ピアニストのアルフレッド・コルトーは、「ババも、きっと聴いているからね」と愛娘のシュシュに語りかけながら『子供の領分』を亡骸の前で弾いたとのこと。 そのシュシュも、翌年、父の後を追うように、14才で早世してしまいます。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】クロード・ドビュッシー作曲『子供の領分』より (演奏順)「小さな羊飼い」「象の子守歌」「人形へのセレナード」 江澤隆行/ピアノ イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行 【提供】笹川日仏財団
Sep 16, 2022•21 min•Season 2Ep. 59
ピアノを学ぶにあたって、嫌に思うに違いない、退屈な練習曲。 サン=サーンスは『動物の謝肉祭』の《ピアニスト》で、単純ながら半音ずつ上がっていく音階練習曲を「初心者がおどおどした演奏スタイル」で弾くように、という指示まで書き込んでいます。 ドビュッシーは、「グラドゥス・アド・パルナッスム博士」というわけのわからない題を付け、一見簡単そうでありながら、指が絡み合いそうな意地悪な音形にしたり、中間部にワグナーの難解な『トリスタンとイゾルデ』をチラつかせたり、と‥。 このふたり、揶揄の仕方は違え、共通しているのは、いずれ劣らぬピアノの超名人であったこと。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】クロード・ドビュッシー作曲『子供の領分』より「グラドゥス・アド・パルナッスム博士」 江澤隆行/ピアノ イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行 【提供】笹川日仏財団
Sep 09, 2022•17 min•Season 2Ep. 58
クロード・ドビュッシーが紆余曲折の末に43才で娘を授かったクロード・エマを、シュシュの愛称で溺愛します。 ピアノの為の組曲『子供の領分』は、まさにその3才になった愛娘の為に作曲され、ドビュッシー自ら楽譜の表紙の絵を描くほど‥。 しかしながら組曲に散りばめられた可愛らしい曲名にもかかわらず、音楽的に皮肉混じりのまったく斬新なものでした。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】クロード・ドビュッシー作曲『子供の領分』より「ゴリウォーグのケークウォーク」 江澤隆行/ピアノ イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行 【提供】笹川日仏財団
Sep 02, 2022•17 min•Season 2Ep. 57
クロード・ドビュッシーの「水」の音の描き方。 音符の縦の線の間隔の変化で水の動きを描いたモーリス・ラヴェルに対し、音程の高低差を使って水の動きの速度を縦横無尽に描く技巧は、オペラ『ペレアスとメリザンド』第三幕1場で、メリザンドの黄金色の髪が、二階から滑り落ちるように垂れて行く様子すら表現出来るほど。後年のレスピーギの作品などに大きな影響を与えることとなります。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】クロード・ドビュッシー作曲『映像』第1集より「水の反映」 フランソワ=ジョエル・ティオリエ/ピアノ イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行 【提供】笹川日仏財団
Aug 26, 2022•10 min•Season 2Ep. 56
クロード・ドビュッシー、モーリス・ラヴェルのふたり。「水」を描写した作品は枚挙に暇(いとま)がありませんが、その表現、描き方はまったく違った色彩感と視点の動きを感じます。 ラヴェルは、遺された写真のように、いつもきちんとネクタイをしてスーツを着ているのが日常であったであろうし、その作品の中でも古典的な形式感の中で縦横なハーモニーを展開しても、決して、その堅い鎧を脱ぎ捨てようとはしませんでした。付点音符を使うことさえ憚り、遠慮しているように思えるほど、音符の縦の線の間隔だけで、水の動きを表わす手法はどこまでも緻密なのです。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】モーリス・ラヴェル作曲『水の戯れ』 フランソワ=ジョエル・ティオリエ/ピアノ イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行 【提供】笹川日仏財団
Aug 19, 2022•13 min•Season 2Ep. 55