『夜想曲』第3曲「シレーヌ」、オペラ『ペレアスとメリザンド』の海の情景、そして集大成としてのオーケストラ作品『海-管弦楽のための3つの交響的素描』と、ドビュッシーは、海の様々な表情を音を通して具象化します。 「海には無数のリズムが潜んでる」と自身が語るように、その波の動きなど海に対する鋭敏な感受性は、幼少時過ごした南フランス、カンヌで日常的に眺めていた地中海が原点なのでしょうか。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】クロード・ドビュッシー作曲『夜想曲』第3曲「シレーヌ」 準・メルクル/指揮、フランス国立リヨン管弦楽団・ライプツィヒMDR放送合唱団/演奏 イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行 【提供】笹川日仏財団
Aug 12, 2022•8 min•Season 2Ep. 54
ドビュッシーは「『祭』は、光が煌めくような雰囲気を持つ踊るようなリズムであり、動きである。それは祭の中を通り抜け、祭と溶け合う行列で、まばゆく空想的な幻影のエピソードで、音楽と全体のリズムに関わる光の粒子と祭との混合物である」と語った、と。 祭の喧騒の中に、ドビュッシーは光を見出していたのでしょうか! 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】クロード・ドビュッシー作曲『夜想曲』第2曲「祭」 準・メルクル/指揮、フランス国立リヨン管弦楽団・ライプツィヒMDR放送合唱団/演奏 イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行 【提供】笹川日仏財団
Aug 05, 2022•10 min•Season 2Ep. 53
まだ18才のドビュッシーが、依頼された歌曲の伴奏を通しての、裕福な夫人との邂逅。「挑みかかるように、心の平静を乱す眼差しになる術を心得ていたその碧い目と、豊満な姿態」を持つヴァニエ夫人の虜にならぬ筈もなく、その関係は10年近くもの長きに渡ります。 その間、入り浸っていたヴァニエ家の書斎で読み耽った詩集や文学書に多大な影響を受け、やがてマラルメの主宰する詩人、作家など芸術家が集う「火曜会(les Mardis)」に、音楽家として唯一参加するようになります。 そこでの知識人との知遇から得た、未知の世界から『牧神の午後への前奏曲』をはじめとする作品群が生まれ、ドビュッシーの作風が確立されて行きます。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】クロード・ドビュッシー作曲『夜想曲』第1曲「雲」 準・メルクル/指揮、フランス国立リヨン管弦楽団・ライプツィヒMDR放送合唱団/演奏 イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行 【提供】笹川日仏財団
Jul 29, 2022•9 min•Season 2Ep. 52
クロード・ドビュッシーの父親はパリ郊外で様々な商売を営むがうまくいかず、勃発した普仏戦争でパリ・コミューンに参加するも捕虜となり、4年間も投獄されます。生活は困窮を極め、幼少のクロードは南仏カンヌの叔母の所に預けられることに。そこで初めてピアノに触れた、という記述はあるものの、きちんと学校に通ったという記録が皆無で、クロードの少し内向的で偏屈な性格形成に影響したこと無縁ではなさそうです。 パリ音楽院在学中、クロードは学生たちの前で、自分の名前をわざと Debussy ではなく de・Bussy と書いていた、と。”de” は貴族の称号(ドイツ圏ではvon)。その独特な少し奇異な雰囲気からも、高貴な家柄を漂わせようとしたのでしょうか...。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】クロード・ドビュッシー作曲『牧神の午後への前奏曲』 中田昌樹/指揮、エルムの鐘交響楽団/演奏 イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行 【提供】笹川日仏財団
Jul 22, 2022•14 min•Season 2Ep. 51
指揮者であり数学者でもあったエルネスト・アンセルメは、「作曲家はオーケストラ的に<思考する>人々と、まず音楽のイメージを抱き、然る後にオーケストラに具現化する人々とに分けられる」というリムスキー=コルサコフの考えを支持した上で、「ドビュッシーは後者に属し、演奏には音響的な問題が付きまとう」と明言しています。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】クロード・ドビュッシー作曲『牧神の午後への前奏曲』 中田昌樹/指揮、エルムの鐘交響楽団/演奏 イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行 【提供】笹川日仏財団
Jul 15, 2022•16 min•Season 2Ep. 50
「ドビュッシー《牧神の午後への前奏曲》のフルート・ソロ、《夜想曲》の『雲』で用いられているコール・アングレ(イングリッシュ・ホルン)の存在がなければ、その後の音楽の進展はまったく違ったものになっただろう」 現代音楽の旗手で作曲家のみならず指揮者としても活躍した、ピエール・ブーレーズの語った言葉の如く、それまでの、繊細ながら輪郭線のはっきりした音楽から、ドビュッシーの書いた音符が昇華して、ぼんやりとした浮遊感すら感じられるような音楽へと、鋭角的に方向性が変遷して行きます。そしてオペラ《ペレアスとメリザンド》では、原作者メーテルリンクの「水が眠るような音」に呼応した音楽を奏でます。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】クロード・ドビュッシー作曲『牧神の午後への前奏曲』 中田昌樹/指揮、エルムの鐘交響楽団/演奏 イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行 【提供】笹川日仏財団
Jul 08, 2022•20 min•Season 2Ep. 49
フランス南部、リヨン近くの小さな町、ラ・コート=サンタンドレ(La Côte-Saint-André)の裕福な医者の家に生まれたエクトール・ベルリオーズ。でも町にはピアノを持つ家もなく、ベルリオーズ幼少時に与えられた楽器は縦笛とギターだけでした。かくして、ピアノを全く弾かない/弾けない作曲家が誕生する事になります。 しかしながら、それによって、モーツァルトやベートーヴェンのように、ピアノという平板的な響きからは想像し得ない、立体的な宇宙観の音楽が、彼の頭の中だけで鳴り響くことになります。《葬送と勝利の大交響曲》《死者の為の大ミサ曲》など、それを現実の音として形にするには、破天荒と思われるような数百人にも及ぶオーケストラや合唱団、四方に配置された金管バンダというサラウンド方式さえ編み出します。 その発想は、後にヴェルディ《レクイエム》をはじめ、多くの作曲家の指針となったことは間違いありません。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】エクトール・ベルリオーズ作曲『幻想交響曲』第5楽章 レナード・スラットキン/指揮、フランス国立リヨン管弦楽団/演奏 イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな...
Jul 01, 2022•12 min•Season 2Ep. 48
ベルリオーズの著した《管弦楽法》の『オーケストラの章』には、こんな事が書かれています。「時間と資金と労力が得られれば、巨大オーケストラの編成はかくあるべきだ」と。ヴァイオリン120、ヴィオラ40、チェロ、コントラバス、木管楽器62、金管楽器47、打楽器55、ハープ30、ピアノ、オルガン1で計467人という、破天荒で非現実的な数字が列挙されています。 実際に《レクイエム》(死者のための大ミサ曲(Grande Messe des morts )ではティンパニ8対16台を10名の奏者で叩かせたり、コントラバスよりさらに1オクターブ低い音が出せる『オクトバス(octobass)』を考案/発注したりもしています。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】エクトール・ベルリオーズ作曲『幻想交響曲』第4楽章 レナード・スラットキン/指揮、フランス国立リヨン管弦楽団/演奏 イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行 【提供】笹川日仏財団
Jun 24, 2022•12 min•Season 2Ep. 47
原題// 『ある芸術家の生涯のエピソード、五部構成の幻想的交響曲』( Épisode de la vie d'un artiste, symphonie fantastique en cinq parties ) 「病的なほどの感受性と燃えるような激しい想像力を持つ若い音楽家が、恋に悩み絶望のあまりアヘンによる服毒自殺を図る。麻薬の量は死に至らしめるには足りず、彼は重苦しい眠りの中で一連の奇怪な幻想を見る。その感覚、感情、記憶が、彼の病んだ脳の中に観念となって、そして音楽的な映像となって現われる。愛する人の姿がひとつの旋律となって、あたかも固定観念のようにそこかしこに現われ、聞こえてくる」(1855年の演奏会に添えられたプログラム・ノートから)。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】エクトール・ベルリオーズ作曲『幻想交響曲』第2楽章 レナード・スラットキン/指揮、フランス国立リヨン管弦楽団/演奏 イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行 【提供】笹川日仏財団...
Jun 17, 2022•8 min•Season 2Ep. 46
エクトール・ベルリオーズが自ら著した自叙伝『回想録』の冒頭は、およそ次のようなことが書いてあります。「私は1803年12月11日、フランス・イゼール県中部の小さな町、ラ・コート・サン・タンドレで生まれた。母は懐妊中、ウェルギリウスの母のように月桂樹の枝(栄光や詩の象徴)を産むとは夢にも思っていなかったのだ。母はまた、アレクサンドロス大王の母オリュンピアスのように、自分の胎内に燃える火の粉を宿しているとは思ってもいなかったことも付け加えておかねばならない。これは例をみない異常なことと私は思うが、事実なのだ。詩文学が全盛だった時代、栄光を運命づけられた人々の到来を告げる種々の前兆があったのだが、そんな予兆もなく、私はごく普通にこの世に生を受けた。もしかすると私たちの時代には詩が欠けているのだろうか?」。 自分の出生にアレクサンドロス大王まで登場させるベルリオーズ。一体どんな音楽を紡ぐのでしょうか。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】エクトール・ベルリオーズ作曲『ローマの謝肉祭』 中田昌樹/指揮、札幌フィルハーモニー交響楽団/演奏 イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆...
Jun 10, 2022•18 min•Season 2Ep. 45
ラヴェル作曲のオペラ『子供と魔法』の台本を書き、ココ・シャネルの寵愛を受けた事でも有名な小説家コレットが語るラヴェル像は「リスのような‥」という、小動物のような形容。「人並みはずれて弱々しい身体と、その上にのった、大きくて美しい頭との不均衡が特徴的で、齧歯(けっし)動物のようにか細い手をきちんと重ね、ちょっと怯えたような目つきであたりを見渡しながら、静かに話を聞いている」と。その繊細さからか、可愛い小さいものへ愛情を傾け、棲家のピアノの上やサロンの棚には、小さな置物が溢れんばかりに、しかし、それは整然と綺麗に配列されて並んでいました。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】モーリス・ラヴェル作曲『ピアノ協奏曲 ト長調』第一楽章 レナード・スラットキン/指揮、フランソワ・デュモン/ピアノ、フランス国立リヨン管弦楽団 イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行 【提供】笹川日仏財団
Jun 03, 2022•12 min•Season 2Ep. 44
『スペイン人作曲家よりスペインっぽい曲を書く作曲家』と称されたモーリス・ラヴェル。なのに、生涯、一度もスペインに足を踏み入れたことがなく、スペインに隣接した母の故郷バスク地方にも、生後三ヶ月居たのち25歳になるまで行っていなかった、と。 しかし、その作品には各々の土地の特徴がふんだんに盛り込まれています。 そんな異文化の音楽に繊細且つ敏感なラヴェルが、多種多様、あらゆる文化/民族が入り混じるアメリカに数ヶ月滞在すると、いったい何を感じ、吸収し、影響されるのか‥。フランス帰国後、直ちに書かれたピアノ協奏曲は、それが見事に結実した華やかな結晶。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】モーリス・ラヴェル作曲『ピアノ協奏曲 ト長調』第一楽章 レナード・スラットキン/指揮、フランソワ・デュモン/ピアノ、フランス国立リヨン管弦楽団 イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行 【提供】笹川日仏財団
May 27, 2022•14 min•Season 2Ep. 43
パリから西に進み、広大なヴェルサイユ宮殿を通り過ぎ、細い木々の並木道を進んで、ふと視界が開けたところに、教会とカフェ一軒がある小さな村、モンフォール=ラモリィ(Montfort-l'Amaury)に辿り着きます。少し小高くなったところに、とんがり屋根の一風変わった家。そこが、自ら望眺荘(眺めのいい館/belvedere)と呼でいたという、モーリス・ラヴェルが人生の最後を過ごした棲家。室内の飾り棚からピアノの上まで、小さな置物たちでいっぱいで、まさに『ソナチネ』を形作っている十六分音符が点在しているかのようです。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】モーリス・ラヴェル作曲『ソナチネ』第三楽章 ピアノ/フランソワ・ジョエル・ティオリエ イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行 【提供】笹川日仏財団
May 21, 2022•10 min•Season 2Ep. 42
モーリス・ラヴェル作曲の『ソナチネ』。ソナチネsonatine とは、ソナタsonata の指小辞(ししょうじ/diminutive)で、少し小さなとか、よりも小規模な、演奏も容易でピアノの入門者が弾くような曲をさすことが多いようです。ハイドン、モーツァルト以来、ベートーヴェンに至るまで形式/内容共に拡張の一途を辿ったピアノ・ソナタのジャンルの中で、ラヴェルはその厳格で常套的な手法/形式感を避け、敢えて前世紀の古典的形式に留まりつつも、精緻を極めるミニチュアな世界を創り出します。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】モーリス・ラヴェル作曲『ソナチネ』第一楽章 ピアノ/フランソワ・ジョエル・ティオリエ イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行 【提供】笹川日仏財団
May 13, 2022•7 min•Season 2Ep. 41
イタリアの作曲家ロッシーニの流れを汲み、《フランスのロッシーニ》とまで言われた、快活で機智に富んだ華やかな響きの『ザンパ』序曲は、しっかりと音響設計された近代的なホールよりも、伝統的な箱型(shoe box type)の自然な響きが心地よいようです。 1883年に実施されたコンセルトヘボウ建築コンペでは、音楽ホールに関する特別な知識を持たないドルフ・ファン・ヘイト(Dolf van Gendt)のアイデアが採用されました。一階客席に全く傾斜がなく、ステージの高さは約2メートル。舞台の雛壇は50センチずつ上がっていく凄い角度がある為、客席からの死角は無し。指揮者は地下の控室からエレベーターで上がってきて、ステージ奥(二階バルコニーの高さ)から赤い絨毯の階段を駆け降りてくる、という世界でも類を見ない形状のホールから、世界屈指の素晴らしいサウンドが生まれる不思議。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】フェルディナン・エロール作曲『ザンパ』序曲 指揮/中田昌樹 演奏/関西学院交響楽団 イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行 【提供】笹川日仏財団...
May 06, 2022•18 min•Season 2Ep. 40
フェルディナン・エロール。フランスの作曲家としてはあまり馴染みのない名前です。しかし、ベルリオーズ、ビゼー、ドビュッシーなどフランスの名だたる作曲家たちが受賞した《ローマ大賞》を獲得、オペラも22曲作曲した俊英でしたが、惜しくも42歳の若さで世を去ります。現在演奏されるのは『ザンパ』序曲くらいになってしまいましたが、そこには短いながらも豊かな才能の片鱗を伺い知ることができます。 『ザンパ』(原題は『大理石の婚約者/Zampa ou La fiancée de marbre)は、海賊の頭領ザンパが既に婚約者がいる伯爵の美しい娘に横恋慕して結婚を迫るものの、ザンパの先妻の大理石の石像がそれを阻止して、理不尽な権力に仕返しをするという内容のオペラです。これは十九世紀初頭にフランスで流行した典型的な《救出オペラ》で、民衆の心を捉え、大成功したようです。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】フェルディナン・エロール作曲『ザンパ』序曲 指揮/中田昌樹 演奏/関西学院交響楽団 ジョキアーノ・ロッシーニ作曲『泥棒かささぎ』 指揮/クリスチアン・ベンダ 演奏/プラハ・シンフォニア管弦楽団 イントロ&エン...
Apr 29, 2022•11 min•Season 2Ep. 39
作曲家が見知らぬ土地に辿り着いた時、感じ取るさまざまな情報。日差しであり、空気の流れであり、匂いであり、それらが混じり合って音に昇華するとすれば、その色彩感に違いが生まれるのは当然でしょう。サン=サーンスが受動的に聞いていた音像とは違い、イベールの、精緻でありながら厚く強い流れを伴った色彩感は、あの華麗で典雅ながら少し透明さすら感じるラヴェルの作品をも凌駕する濃密ささえ感じます。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】ジャック・イベール作曲 交響組曲『寄港地』より「ネフタ」「バレンシア」 指揮/佐藤道郎 演奏/倉敷市民吹奏楽団グリーンハーモニー イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行 【提供】笹川日仏財団
Apr 22, 2022•16 min•Season 2Ep. 38
サン=サーンスは、若い頃は神童としての名を欲しいままにし、その後、フランス音楽界の重鎮としての作曲や演奏活動し続けました。それと並行して、各々の分野で素晴らしい専門的な知識も身につけていました。地質学、考古学、植物学、蝶類学のみならず、数学の専門知識を持ち、音響学、超自然的科学現象、ローマ時代の劇場装飾、古代楽器などに関する学術論文を発表、哲学書まで著しました。その間にも頻繁に旅行を続け、旅の果てに、滞在していたアルジェで客死。86歳でした。その際「これが最後の旅路かも‥」と呟いたそうな‥。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】カミーユ・サン=サーンス『アルジェリア組曲』より「夕べの幻想(ブリダにて)」「フランス軍隊行進曲」 指揮/中田昌樹 演奏/岡山交響楽団 イントロ&エンディング クロード・ドビュッシー『小さな黒人』 演奏/江澤隆行 【提供】笹川日仏財団
Apr 15, 2022•20 min•Season 2Ep. 37
モーツァルトを凌駕するほどの早熟な天才として、その名を馳せたカミュ・サン=サーンス。 名声を欲しいままにした順風満帆な人生でありましたが、晩年は、アフリカはもとより、西はサン・フランシスコ、東はセイロン(現スリランカ)、シンガポール、南はブラジルと、まさに世界中を旅してまわった、大変な旅行家でもありました。しかも、何故か恩師のフランソワ・サノワの名にあやかってか、シャルル・サノワという偽名を名乗って...。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】カミーユ・サン=サーンス『アルジェリア組曲』より「アルジェを眺めて」「ムーア風狂詩曲」 指揮/中田昌樹 演奏/岡山交響楽団 イントロ&エンディング クロード・ドビュッシー『小さな黒人』 演奏/江澤隆行 【提供】笹川日仏財団
Apr 08, 2022•18 min•Season 2Ep. 36
ラヴェルは亡き友人たちへの思い出を語りかける言葉を、あの細かいたくさんの音符にして、フランス語の流麗な言葉を連ねたような音の世界を作りました。そしてそれを古典的な舞曲にのせて、さまざまな人模様を浮かび上がらせます。 ちょっとテンポを変えてみたりペダルを多用して弾いてみると、その影絵の部分も見えてくる不思議。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】モーリス・ラヴェル『クープランの墓』ピアノ組曲より「プレリュード」「フーガ」「フォルラーヌ」「メヌエット」「トッカータ」 演奏/江澤隆行 イントロ&エンディング クロード・ドビュッシー『小さな黒人』 演奏/江澤隆行 【提供】笹川日仏財団
Apr 01, 2022•17 min•Season 2Ep. 35
第一次世界大戦時、愛国的忠義心からラヴェルも軍隊に志願し、体重が2kg足りない(48kgしかありませんでした!)とハネられそうになりましたが、辛うじて負担の軽い後方支援のトラック運転を担うことに。それでも結局は健康を害し途中除隊するほど虚弱であったようです。 この曲集は、戦争で失った親しい友人たちの思い出を、敬愛するバロック時代の作曲家クープランの名のもと、その時代の典雅な形式に納めて捧げた組曲です。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】モーリス・ラヴェル『クープランの墓』より第4番「リゴドン」 指揮/レナード・スラットキン指揮、演奏/フランス国立リヨン管弦楽団(配信期間:2022年3月26日〜4月25日) イントロ&エンディング クロード・ドビュッシー『小さな黒人』 演奏/江澤隆行 【提供】笹川日仏財団
Mar 25, 2022•16 min•Season 2Ep. 34
モーリス・ラヴェルとクロード・ドビュッシー。フランスを代表するふたりの作曲家に、ほぼ同時期に全く違った機構の新型のハープを開発したふたつの会社が作曲を依頼する。 前者は足元にあるペダルを操作して半音階を作り出すプレイエル社製の為に『序奏とアレグロ』を1905年に、後者は弦を増やして半音を容易に演奏するように考案されたエラール社製の為に『神聖な舞曲と世俗の舞曲』を1904年に作曲。それぞれの楽器の特徴を活かす名曲がこうして誕生しました。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】クロード・ドビュッシー『神聖な踊りと世俗の踊り』より「神聖な踊り」 Ellen Bødtker (hp)、Sjur Bjaerke (cb)、Vertavo String Quartet(配信期間:2022年3月19日〜4月18日) イントロ&エンディング クロード・ドビュッシー『小さな黒人』 演奏/江澤隆行 【提供】笹川日仏財団
Mar 18, 2022•16 min•Season 2Ep. 33
パリ郊外、モンフォール・ラモリィの《ベルヴェデーレ(眺めのいい家)》と名付けられた、モーリス・ラヴェル最後の棲家。その寝室に、彼はギリシャ風の柱頭を持った柱を自ら描きました。 遥か、ギリシャ神話に登場するミュージックの語源にもなった女神ミューズが奏でる優美な音楽と舞。 ラヴェル自身が夢想したであろう、そのしなやかな風と爽やかな風はそれぞれ木管楽器とハープで、見事に体現されています。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】モーリス・ラヴェル『序奏とアレグロ』 ゾルターン・ジェンジェッシ/フルート、ベーラ・コヴァーチ/クラリネット、エヴァ・マロシュ/ハープ、コダーイ・クァルテット(配信期間:2022年3月12日〜4月11日) イントロ&エンディング クロード・ドビュッシー『小さな黒人』 演奏/江澤隆行 【提供】笹川日仏財団
Mar 11, 2022•10 min•Season 2Ep. 32
フランシス・プーランクがフルートとという、か細い楽器を通して織りなすいろいろな風。 その風は、時には疾風のような速さで吹け抜けるかと思えば、爪先立って跳ね回るような旋風だったり、はたまた包み込むような微風だったり。その度に色彩を変えて見えてくる、軽妙洒脱で変幻自在な風景を楽しめます。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】フランシス・プーランク フルート・ソナタ FP164 - 第1楽章 フルート/フィリップ・ベルノルド、ピアノ/アレクサンドル・タロー(配信期間:2022年3月5日〜4月4日) イントロ&エンディング クロード・ドビュッシー『小さな黒人』 演奏/江澤隆行 【提供】笹川日仏財団
Mar 04, 2022•12 min•Season 2Ep. 31
パリ音楽院の学生時代に作曲した、墨絵のような濃淡だけで端正に表したモノクロームなピアノ曲。それに様々な楽器の特徴的な音色で色彩感のみならず立体感すら生み出す、素晴らしいオーケストレーションをラヴェル自身で施したのは、その10年後のこと。 しかし1911年2月27日、英国マンチェスターで初演された時のガーディアン紙の批評は「素晴らしく美しい(most beautiful)。しかし、短いフレーズの中でのとらえどころのない、ともすれば凡庸で古典的なハーモニーは表現を抑え込み、せっかくの旋律の美しさを幾分か削り取っている。とてもこの作曲家の代表作とは言い難い」と。 将来、ラヴェルの作品の中でも最も愛される一曲になるこの曲の、古風な形式という鎧を纏った簡素な機智をこの批評家は洞察するには至らなかったようです。 ちょうど111年前の出来事。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】モーリス・ラヴェル『亡き王女のためのパヴァーヌ』管弦楽版 指揮/レナード・スラットキン 演奏/フランス国立リヨン管弦楽団(配信期間:2022年2月26日〜3月25日) ピアノ版 演奏/渡邊智道 イントロ&エンディング クロー...
Feb 25, 2022•18 min•Season 2Ep. 30
モーリス・ラヴェル作曲『亡き王女のためのパヴァーヌ』。 逝去した王女の追悼の為の曲だとか、昔スペインの宮廷で小さな王女が踊ったような...とか、とさまざまな憶測が行き交っていますが、ラヴェル自身は 「infante défunte(アンファン トゥ ・デファン トゥ ) とte( トゥ )の韻を踏んだだけ」、と。 慎ましさ、謙虚さの中に精緻に音を組み立て、古典的な形式の完璧さの中に閉じ込めた曲をパリ音楽院在学中に書いてしまったわけです。早熟とはちょっと異質なこの稀有な資質は細い線で繋がって、あの『ボレロ』に至ります。 ナビゲーターの中田昌樹さんのレクチャー「フレンチ・クラシックを愉しもう」の第1回が2022年2月19日(土)、第2回が3月12日(土)にアンスティチュ・フランセ九州で行われます。プログラム詳細は こちら から。 https://www.institutfrancais.jp/kyushu/culture/french-classique/ 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】モーリス・ラヴェル『亡き王女のためのパヴァーヌ』 ピアノ演奏/渡邊智道 イントロ&エンディング ド...
Feb 18, 2022•21 min•Season 2Ep. 29
フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット。木管4本の異なった音色の糸が織りなす特徴的なサウンドは、細い線の交わりながら、楽器の性能の向上とともに、不思議な立体感や浮遊感を創り出していきます。一方、不世出のフルートの名手が、敢えてその楽器の特性を逆手に取るような曲を演奏しています。それもフルートの可能性を熟知してるがゆえのことなのでしょうか。 ナビゲーターの中田昌樹さんのレクチャー「フレンチ・クラシックを愉しもう」の第1回が2022年2月19日(土)、第2回が3月12日(土)にアンスティチュ・フランセ九州で行われます。プログラム詳細は こちら から。 https://www.institutfrancais.jp/kyushu/culture/french-classique/ 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】ジャック・イベール 木管四重奏『二つの楽章あるいは断章』 演奏/日本経済大学吹奏楽部 アラム・ハチャトゥリアン フルート協奏曲 指揮/中田昌樹 フルート/工藤重典 演奏/札幌フィルハーモニー管弦楽団 イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行 【提供】笹川...
Feb 11, 2022•18 min•Season 2Ep. 28
クラリネットは、十六世紀初頭、バッハの少年時代、ニュルンベルクの楽器製作者ヨハン・クリストフ・デンナーによって発明されたと言われています。 フルートやオーボエに比べると遅いスタートで、オーケストラで本格的に活躍するようになったのは、やっとモーツァルトの時代。それまでの約一世紀、作曲家たちにあまり関心を持たれなかったのは、その機能の未熟さのためだったのでしょうか...。 その後二十世紀に入り、ベーム・システムが導入され、楽器の性能は飛躍的に向上し、作曲家もこぞって、その性能を活かすべく、高度な技術を要する曲を探求していくようになりました。 ナビゲーターの中田昌樹さんのレクチャー「フレンチ・クラシックを愉しもう」の第1回が2022年2月19日(土)アンスティチュ・フランセ九州で行われます。プログラム詳細は こちら から。 https://www.institutfrancais.jp/kyushu/culture/french-classique/ 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】ジャン=ミッシェル・デファエ『クラリネット四重奏のための6つのオーディション曲』 演奏/日本経済大学吹奏楽...
Feb 04, 2022•15 min•Season 2Ep. 27
アドルフ・サックスによるサクソフォンの発明と同じ頃、ドイツのフルート奏者でもあったテオバルト・ベームが開発したシステムは「ベーム式」と呼ばれ、フルートのみならずクラリネットやサックスのキーの改良に影響を与えたと言われています。 これによって木管楽器の音質/音量、演奏性能は飛躍的に向上し、同時代の作曲家の作品にも活かされるようになりました。そこで作曲家たちがまず注目したのは、今まで存在していなかった目新しいサクソフォンという楽器。さて、オーケストラにどのように取り込んだのでしょうか...。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】ジョルジュ・ビゼー作曲・『アルルの女』より「メヌエット」「ファランドール」 指揮/佐藤道郎 演奏/倉敷グリーンハーモニー イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行 【提供】笹川日仏財団
Jan 28, 2022•22 min•Season 2Ep. 26
*1月22日(土)6時の開始時に、誤って#26エピソードを配信してしまいました。同日8時30分現在、正しいものに差し替えましたので、すでに聴いてくださった方は恐れ入りますが、再視聴くださいますようお願い申し上げます。ご迷惑おかけして申し訳ありません。 サクソフォン(Saxophone)の発明者として知られているアドルフ・サックス。 1846年にサクソフォンの特許を取得するより前、サクソルン(Saxhorn)と呼ばれる現在のユーフォニウムに近い太管の、バルブやピストンのついた金管楽器の特許を多数申請していた、と言われています。そして、それらの特許申請に多数の訴訟が起こされ、対応に忙殺されていたらというのも興味深いですね! 訴訟を起こした相手とアイデアを共有して共同開発していたらどんな楽器が生まれていたのでしょうか。人の声に近い楽器と言われているサックスの音色を生かした楽曲をお楽しみください。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】ピエール=マックス・デュボワ『サックス四重奏』 演奏/倉敷グリーンハーモニー サクソフォンパート イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行 【...
Jan 21, 2022•18 min•Season 2Ep. 25