【A059】現代文学の条件 時間:125分(うち質疑応答28分) 音質:3 ジャンル:文学 講演日時:1981年7月3日 主催:梅光女学院大学 場所:梅光女学院大学 収載書誌:未発表 音源について 梅光女学院での講演。 音源は主催者提供. 会場内のノイズが入っている。 ープ反転のため一部音質が変わる。 講演より 現代文学が強いているのは、 「物語性の喪失」ということです。 作品の緊張度を保とうとすると、 物語というものを喪失せざるをえないというジレンマが、 現代文学が当面している大きな条件でもあります。 そういう条件のなかで、 若い作家が無意識のうちにとっている ひとつの解決のしかたがあります。 それはイメージの氾濫ということです。 そのイメージには意味をつけようがなく、 泡のようにはかないもので、 ただイメージだけが氾濫しています。 しかし現在の若い作家は、そのことによって 現在の文学が当面している大きなジレンマを 無意識に解こうとしているように思われるのです。 この講演のテキストを読む...
Aug 15, 2015•2 hr 6 min
【A175】親鸞の造悪論 時間:81分 音質:3 ジャンル:宗教 講演日:1995年11月19日 主催:東洋大学二部印度哲学科学生/東洋大学全学学園祭実行委員会 場所:東洋大学白山キャンパス 収載書誌:春秋社『宗教の最終のすがた』(1996年) 音源について 東洋大学白山祭シンポジウム 「現代日本の信」の第1部で 「親鸞復興」という原題。 音源は主催者提供だが、 スピーカーから遠い客席から録音。 反響音などで聞きづらい部分あり。 講演より オウム・サリン事件で僕なりに いろんなことを考えました。 親鸞が「善人なほもて往生をとぐ、いはんや悪人をや」と いっているのは一種の逆説で、 逆説のほうが通りやすいといいますか、 持続しやすいということがあって、 どんどん突き進んでいったというふうに 僕は考えてきていました。 ところが、親鸞はもしかすると、 いまのオウム・サリン事件みたいな問題に現実に直面して、 これを肯定していいんだろうか、よくないんだろうか、 と本気になって考えさせられたあげくに、 「造悪」、悪を進んで造る「極悪深重の輩」を 自分の「善悪」観のなかに包括できるという確信を 持てる...
Aug 15, 2015•1 hr 21 min
【A136】農業から見た現在 時間:122分 音質:3 ジャンル:情況 講演日:1991年11月10日 主催:雑誌「修羅」同人 後援・弓立社 場所:長岡市・中越高等学校会議室 収載書誌:未発表 音源について 音源は主催者提供。 客席から録音されたものだが、 比較的クリア。しかし、 講演の最後の部分で録音が終わる。 講演より はっきりわかっていることは、 先進諸国においては農業、もっといいますと第一次産業、 あるいはもっといいますと 自然を相手にして生産する産業は、 減少する一方だということです。 減少する速度はそれぞれですが、 減少することは歴史の必然、文明の必然であって、 これを変えることはできないと僕は思っています。 これを遅くしたり、あるいは止めたりということは 政策いかんによってできないことはありませんが、 文明の発達が第一次産業を減少させていくことは きわめて自然必然、歴史必然だろうということは 間違いないことです。 この講演のテキストを読む...
Aug 15, 2015•3 hr 23 min
【A097】詩魂の起源 時間:62分 音質:3 ジャンル:思想 講演日時:1986年11月23日 主催:思潮社 場所:新宿・紀伊国屋ホール 収載書誌:思潮社『詩とはなにか──世界を凍らせる言葉』(2006年) 音源について 思潮社創立30周年を記念して 開かれたイベントでの講演。 音源は客席から録音されたが 比較的クリアに収録。 講演より 詩が発生するときにまでさかのぼった過去に、 詩はどう考えられていたかというと、 「魂の気配を察知すること」自体が詩であると 思われていました。 言葉に表現する以前の段階で、 ただ気配のようなものがあったとき、 それを察知できるということが 「詩の行為」だと考えられていたということです。 ここから始まって、言葉を使って 他人や対象に魂の在り処をつけてしまうことが、 言葉が介入した以後の詩の表現でした。 平安朝の末期頃まで、たとえば恋愛の場合には、 「相聞」というかたちで詩が存在したわけです。 相聞というのは言葉を使って、 相手に自分を無理矢理にでもくっつけてしまうことです。 ここらへんまでがたぶん、われわれの歴史のなかで、 仏教みたいなものが入る以前に...
Aug 15, 2015•1 hr 2 min
【A022】文学における初期・夢・記憶・資質 時間:90分 音質:3 ジャンル:文学 講演日時:1970年11月2日 主催:東京女子大学短期大学部 場所:東京女子大学短期大学部 収載書誌:弓立社『敗北の構造』(1972年) 音源について 東京女子大学短期大学部の 学園祭での講演。 周辺のノイズや残響音が入るが 比較的クリアに収録されている。 講演より 僕は、12、3歳の頃でしょうか、当時の市電に乗って、 切符を買おうと慣れないために緊張してお金を出すと、 車掌が素知らぬ顔で自分の前を さっさと通り過ぎて行ってしまうということがありました。 「どうしておれの前だけ止まってくれないのだろう」 という行き違いのようなことが とても引っかかった時期があります。 そのことから導いたのは、 「タイミングがあわない」ということは 自分の資質ではないかということでした。 この社会にいながら、成長し、そして 老いていく過程のなかで、 なぜ自分のところにだけ こんなことが降りかかるのだろうとか、 なぜ自分のときだけ行き違いが起こるんだろうか という体験は、みなさんも記憶の片隅や気持ちのどこかに とどめてい...
Aug 15, 2015•1 hr 31 min
【A126】つくば、都市への課題 時間:93分 音質:3 ジャンル:情況 講演日時:1990年5月18日 主催:筑波西武リブロブックセンター 場所:エキスポセンター コズミックホール 収載書誌:未発表 音源について 講演時間は2時間だったが 吉本隆明の体調不良のため 1時間30分に変更された。 音源は主催者提供。 ところどころマイクノイズあり。 講演より 都市というのは、非常に嫌らしい本質を持っています。 都市は、産業が高次化して農業や漁業のような 第一次産業が衰退していけばいくほど成長します。 次に、第二次産業、製造業が 大きくなればなるほど成長します。 しかし第三次産業に重点が移っていったとき、 都市はなお成長します。 これは感情論でもなければ倫理の問題でもありません。 数学の定理のように、産業が高次化するほど 都市は成長するということです。 それが歴史の発展する方向であることは 疑いないと思います。 産業の高次化と都市の成長が比例関係にあるという定理を 冷静に見つめて分析し、 さまざまな条件をとりだしたうえで、 これを理想の状態に近づけるには どういう考慮が必要なのかを問題にすべ...
Aug 15, 2015•1 hr 34 min
【A082】「現在」ということ 時間:67分 音質:3 ジャンル:情況 講演日:1985年3月30日 主催:山梨県石和町教育委員会 場所:石和町中央公民館 収載書誌:思潮社「現代詩手帖 7月号」(1985年) 音源について 昭和60年度石和町成人講座 遊・学イベント『た・だ・い・ま』 での講演。 吉本隆明をあわせて 3人の講演会が行われた。 音源は主催者提供。 聞き取りやすいが、 周辺ノイズが入る個所がある。 講演より テレビにおける萩本欽一みたいな 偉大なタレントがもうくたびれちゃったから 番組をちょっと降りさせて休ませてもらうよっていったり、 五木寛之がかつて少し小説を書かないで 休んでいたいよっていったりしましたが、 これは彼らが芸術や文学として 絶えず新しさを求めて競争をする世界で 活動をしてきたからだと思います。 絶えず新しさを生み出すという衝動を何年も続けてきて、 やっぱりくたびれたというところにきたということだと 思います。「 もう降りる以外に自分は存立できない」という危機感を 覚えたときに、偉大なる萩本さんは 番組からちょっと降りて考えたいとか、 休みたいと考えるわけで...
Aug 15, 2015•1 hr 7 min
【A057】戦後文学の発生 時間:141分(うち司会19分) 音質:5 ジャンル:文学 講演日時:1980年11月29日 主催:宮城学院女子大学 日本文学会 場所:宮城学院女子大学 収載書誌:未発表 音源について 宮城学院女子大学の 日本文学会の招きによって 行われた講演。 音源はたいへんクリア。 一部音質が悪くなる個所がある。 講演より 〈発生〉というのは非常に不安定な状態です。 いつ消えてしまうかもわからない不安定な状態ですが、 同時に何とでも結びつくことができる活性力を持っている。 何かと強力に結びついて持続するかもしれないけれども、 結びつくものがなければ そのまま消えてしまうかもしれない。 不安定さと活性を持った〈発生〉の状態の戦後文学のなかに 何があったのか。 何かに結びついていまも持続している要素は何か。 もはや跡形もなく消えてしまった要素は何か。 敗戦を迎えた1945年の8月から、 ほんの数年のあいだに出てきた 日本文学の作品のさまざまな要素を 〈発生〉ということで取り上げれば、 大きく分けてふたつのことを 象徴させることができると思います。 この講演のテキストを読む...
Aug 15, 2015•2 hr 21 min
【A030】文芸批評の立場から見た人間理解の仕方 時間:44分 音質:1 ジャンル:文学 講演日時:1973年11月17日 主催:東京都立精神医学総合研究所 場所:東京都立松沢病院 4階大会議室 収載書誌:弓立社『知の岸辺へ』(1989年) 音源について 「現代における 精神医学研究の課題」 と題して開かれた研究会で 行われた講演。 テープ劣化がひどく、 たいへん聞き取りづらい。 講演より 文学の立場というのは、一言でいいますと 「言葉で表現する立場」ということです。 その本筋は、大昔にさかのぼれば〈歌〉にあります。 〈歌〉というのは、2千年とか3千年とか、 そうとう古い時代からあった、韻文──リズムの入った 言葉の表現です。 この〈リズム〉というのは、いまでいえば 神がかりの状況に入ったときに出てくるものです。 文学者というのは、さかのぼってゆけば 神がかりの状況の人間にいきつくわけです。 そうすると、神がかりの状態というのが、 文学者にとって根本的な立場ということになると思います。...
Aug 15, 2015•45 min
【A084】アジア的と西欧的 時間:127分 音質:4 ジャンル:思想 講演日時:1985年7月10日 主催:リブロ 西武池袋本店 場所:西武百貨店 池袋店 スタジオ200 収載書誌:弓立社『超西欧的まで』(1987年) 音源について ライン録音。 たいへんクリアだが、 ところどころに 音が割れるように聞こえる 個所がある。 講演より 日本は現在、西欧型の先進的社会に突入しています。 ただ、複雑なことは、〈アジア的〉という概念が 一枚加わらないと、日本社会の完全なイメージが 描けないということです。 日本の現在の社会のなかに〈アジア的〉意識が どんなふうに〈手段〉の分野で存在しているか、 どういうふうに産業・芸術・文学の分野で 存在しているかという問題が残されているのです。 日本の社会は、西欧における 「西欧的思考の解体作業」にも参加せざるをえないし、 ある場合にはそれを推進せざるをえないというところに おかれています。しかし同時に 〈アジア的〉意識というもののあり方を、 二重性として勘定に入れなければなりません。 こんなことは西欧社会では不要なことでしょうし、 西欧社会が日本の社会を...
Aug 15, 2015•2 hr 8 min
【A006】詩人としての高村光太郎と夏目漱石 時間:127分 音質:2 講演日時:1967年10月24日 主催:東京大学三鷹寮委員会 場所:東京大学三鷹寮 収載書誌:徳間書店『情況への発言』(1968年) 音源について 東京大学三鷹寮委員会の招きで 三鷹寮寮祭で行われた講演。 ノイズも多く、ところどころに 聞き取りづらい個所がある。 講演より 文学芸術に関する限り、問題の本質は 手仕事をやるかやらないかということで決まるのです。 手仕事というのは、毎日のように机の前に 原稿用紙をおいて、ペンを持って、机の前に坐って、 なんかやるということです。 何も書くことがなく、気分ものらなくても、 やっぱり原稿用紙を前において、ペンをとって、 そこに坐って、「さて」ということで やろうということです。 そういうことを持続できるかできないかということが、 文学の創造の中心を決定していくんです。 それをやらなければ、文学芸術、つまり 観念のつくるものが、具体的な現実に よく拮抗することができないんです。 それに耐えたうえで、文学芸術における思想の問題、 あるいは資質の問題というものが はじめてあらわれ...
Aug 15, 2015•2 hr 8 min
【A159】社会党あるいは社会党的なるもののゆくえ 時間:112分 音質:2 ジャンル:情況 講演日時:1993年11月26日 主催:社会党 場所:社会文化会館5階ホール 収載書誌:弓立社『吉本隆明全講演ライブ集 第9巻』(2005年) 音源について 同年7月の総選挙での大敗を受け 社会党本部の要請により行われた。 音源は客席から録音されているため 反響音や音割れ、ノイズがあり、 音質はあまりよくない。 講演より 自衛隊問題と憲法とを矛盾なしに整合するには、 小沢一郎のいい方がいちばん妥当なわけです。 僕は、ソフトであってかつ温和な社会党の考え方は、 そのなかにじゅうぶん含まれうると思います。 また、社会党の別のラディカルな部分にとっては、 それはやっぱり名目的に認められない、 ということになると思います。 社会党は、そのどちらをも選ぶ領域があるんだと思います。 もしそれが社会党内部で矛盾だったら、 「さよなら」すればいいわけです。 僕はどちらだっていいんじゃないかと思います。...
Aug 15, 2015•1 hr 53 min
【A040】『最後の親鸞』以後 時間:125分(うち質疑応答38分) 音質:4 ジャンル:宗教 講演日時:1977年8月5日 主催:真宗大谷派関係学校宗教教育研究会 場所:新潟県妙高市・東本願寺池ノ平青少年センター 収載書誌:春秋社『〈信〉の構造 PART1』(2004年) 音源について ライン録音ではないがクリア。 真夏の講演で、途中夕立が起こり、 雨音や雷鳴も収録されている。 質疑応答の最後で録音が切れる。 講演より 『最後の親鸞』もそうでしたけれど、 僕は親鸞の思想に重点をおいてとりあげようと思います。 信仰ということと思想ということはどこが違うかというと、 信仰の場合にはあくまでも内部の側にあって 語ることになっていくと思います。 けれども思想は、内部から語るというよりも、 内部と外部の境界に踏石をおいて、 ひとりの宗教家であった思想家をとりあげる、 ということです。 内部にも行くかもしれませんけれども、 外部にも行ってしまう、そういうところが 思想ということと信仰ということの違いといえます。 すぐれた宗教家であると同時に、 思想の立場からとらえても対象として充分に耐えうる 日...
Aug 15, 2015•2 hr 5 min
【A167】25年目の全共闘論──『全共闘白書』を読んで 時間:60分 音質:3 ジャンル:情況 講演日時:1995年1月18日 主催:プロジェクト猪/『全共闘白書』編集委員会 場所:永田町・星陵会館 収載書誌:プロジェクト猪『いのししブックレット2 25年目の全共闘論『全共闘白書』を読んで』(1995年)、弓立社『吉本隆明全講演ライブ集 第9巻』(2005年) 音源について 『全共闘白書』(新潮社)の 刊行を機に開かれた シンポジウムの講演。 この講演のほか、小坂修平氏や 切通理作氏らによる討論があった。 反響音や手元ノイズがあるが、 比較的クリアに収録されている。 講演より 『全共闘白書』の最初のところに 72項目のアンケートがあります。 僕が読んでいちばん関心を持ったのは このアンケートでした。 こういうアンケートの設問のしかたは、 「社会的なこととか公共的なことは重要で、 個人的なことが最重要課題だということは 情けないことなんだ」 というような観点が、 無意識のうちにあるような気がします。 僕はそれは絶対にやめたほうがよいと思います。 そういう発想をしている限り、 「おれは大...
Aug 15, 2015•1 hr 2 min
【A129】都市論としての福岡 時間:186分 音質:4 ジャンル:情況 講演日:1990年9月3日 主催:「パラダイスへの道」出版委員会 場所:福岡市早良区市民センター 収載書誌:パラダイス企画『パラダイスへの道’ 91』(1991年) 音源について 『パラダイスへの道’90』 出版記念として福岡で行われた。 音源は客席で録音されたものだが、 質疑応答も含め全編クリア。 一部、音量のバランスが悪くなる。 講演より 都市論ということは、さまざまな観点と視点を 持つでしょうけれども、僕らの視点からいえば、 都市論は国家論と同じことなんです。 また、九州一円についての都市について論ずることは、 世界全体について論ずることと一向に変わりなく、 同じことなわけです。 都市と都市を比較するということは、 先進国と後進国を比較するというのと同じ意味を持ちます。 たとえば福岡市と鹿児島市、 あるいは福岡市と熊本市のデータを比べて、 さまざまな観点から比較をしますと、 世界における先進国と後進国、 あるいは先進地域と後進地域との格差が どのように縮まるかとか、 いや格差は縮まらないんだとか、 そういう...
Aug 15, 2015•3 hr 7 min
【A070】『源氏物語』と現代──作者の無意識 時間:123分 音質:3 ジャンル:文学 講演日:1983年3月5日 主催:山梨県石和町教育委員会 場所:石和町中央公民館 収載書:思潮社『白熱化した言葉』(1986年) 音源について 「源氏物語を読むなら どの現代語訳がいいか?」 というテーマからはじまる。 ステージから離れた客席から録音。 本講演から半年ほどさかのぼる 1982年10月には 吉本隆明著『源氏物語論』が刊行。 講演より 『源氏物語』の作者の無意識までも こちらに移ってくるように、微細な部分まで 作品を読むことができるようになったときにはじめて 『源氏物語』を現代風に読むことができた ということになります。 本来的には原文を抜きにして そういう微妙さが伝わる読み方が できるわけはないといういい方もできそうですけれども、 僕の考え方では、現代語訳でも十分です。 作者と語り手と、登場人物の言動とは みなそれぞれ違うものなんですよという区別をしたうえで 作品を読まれることによって、 『源氏物語』の現代的な読み方の基本点を つかまえることができると思います。 チャプター 01 司...
Aug 15, 2015•2 hr 3 min
【A027】鷗外と漱石 時間:83分 音質:3 ジャンル:文学 講演日:1971年10月14日 主催:文京区立鷗外記念本郷図書館 場所:文京区立鷗外記念本郷図書館 収載書誌:弓立社『敗北の構造』(1972年) 音源について 森鷗外の旧居「観潮楼」跡地にあった 鷗外記念本郷図書館で行われた。 音源は主催者提供。 講演より 当時の文学者でいえば、鷗外と漱石は、 格段に学があって、格段に見識があって、 相互に意識して、はりあっているみたいな要素が ほのかに見えます。 たとえば鷗外の『ヰタ・セクスアリス』という小説を 読みますと、漱石の『吾輩は猫である』を読んで、 おれも書きたくなったというような個所があります。 そういう意味で、少なくとも 「おれと同じくらいな奴は、あいつだけだ」 というふうには意識していたかもしれません。 それ以外に、個人的に交渉があったとか、 親しかったとかいう痕跡はありません。 そういう意味では共通性も関係性も それほどないといえます。 それでも、無理にあげようとすると、共通性はあります。 両者とも、当時の日本の文学の主流であった 自然主義文学に対して、何らかの意味で別...
Aug 15, 2015•1 hr 23 min
【A138】像としての都市 時間:129分(うち、質疑応答26分) 音質:4 ジャンル:情況 講演日:1992年1月21日 主催:NKK都市総合研究所 場所:大手町・日本鋼管本社ビル 収載書誌:弓立社『吉本隆明全講演ライブ集 第11巻』(2005年) 音源について 8人連続講演会 「アーバンコンファレンス21」 として行われた講演。 他の出演者には藤森照信氏、 荒俣宏氏、中村桂子氏など。 周辺ノイズが入るが 内容はクリアに聞き取れる。 講演より ひとつのビルがどうなっていくのが理想なのかを 追究することと、 都市がどうなっていくのが理想なのかを追究することと、 国家社会がどうなっていくのが理想なのかを 追究することはぜんぶパラレルで対応する、 そういう考え方を僕はしてきました。 どんな国家社会が理想的な社会かというのを弾き出す場合、 主観的に、あるいは知的に 「これが理想なんだ」といっても、 そんなことはちっとも当てになりません。 理想の設計という場合、他者というのが必要です。 理想というのは先端的であればいいか、新しければいいか、 間違っていないやつを選べばいいかといったら そんなこ...
Aug 15, 2015•2 hr 9 min
【A146】鷗外と東京 時間:72分 音質:3 ジャンル:文学 講演日時:1992年11月8日 主催:文京区立鷗外記念本郷図書館 場所:東京大学 安田講堂 収載書誌:弓立社『吉本隆明全講演ライブ集 第10巻』(2005年) 音源について 吉本隆明の講演の前には、 江藤淳氏による講演 「鷗外と明治」があった。 音源は主催者提供。 講演より 鷗外は、文学者、軍人、医学者と 3つぐらい面倒くさい衣を着て、 たいへん我慢に我慢を重ねた生涯を送った人だと思います。 そして最後に、「えいっ」と、 「東京もいらない、官庁もいらない、軍人もいらない」 というふうになって、 「岩見の人、森林太郎というのだけでたくさんだ」 という遺言をして亡くなる。 どれをとっても一流の3つの衣が、 もう重たくてやりきれないということになって、 ぜんぶほっぽり出しちゃったというイメージで理解すると、 たいへん理解しやすいような気がします。 ここらへんの交錯し錯綜するところが鷗外の全体像であり、 また東京に対する鷗外の私的な好みと 公的な見解とのありどころだったんじゃないかというふうに 思われます。...
Aug 14, 2015•1 hr 12 min
【A089】鷗外と漱石の見た東京 時間:52分 音質:2 ジャンル:文学 講演日時:1986年1月31日 主催:東京都文化振興会 場所:安田生命ホール 収載書誌:弓立社『吉本隆明全講演ライブ集 第10巻』(2005年) 音源について 東京都文化振興会による雑誌 「東京人」の創刊を記念した イベントでの講演。 吉本隆明の前に篠山紀信氏、 小林信彦氏による講演があった。 音質はあまりよくない。 講演より 鷗外の文学作品における東京への関心は、 「紅灯の巷」的なものへの関心です。 そうした情緒へのエロス的な傾斜と、 軍医総監あるいは衛生学の専門家としての 近代都市東京に対する見識が 総合的に統一されたということは、 鷗外のなかでなかったと思います。 衛生学による都市論と、彼の小説に現れた東京には 一種の空隙があります。 漱石のなかにも、文明苦としての東京というものと、 自然としての東京というものとのあいだに、 やはり空隙があるということができると思います。 漱石がそれを何で埋めたのかはよくわかりません。 たぶんそこの空隙を埋めたいというモチーフを 最後まで持ち続けながら、 しかしそれを埋める...
Aug 14, 2015•53 min
【A088】都市を語る 時間:57分 音質:3 ジャンル:情況 講演日時:1985年10月22日 主催:慶應義塾大学 学生部 場所:慶應義塾大学 日吉キャンパス 33番教室 収載書誌:弓立社『像としての都市』(1989年) 音源について 慶應義塾大学学生部による 課外教養企画として行われた。 反響音や録音者の手元のノイズや 話し声の聞こえる個所があるが、 比較的クリア。 途中で音質が変わる個所がある。 講演より 東京は現代的な都市のなかで もっとも複雑でもっとも興味深く、 もっとも無秩序な町だと思います。 この都市がどこに行くのかを追求していくことは、 単に都市がどうなるのかということだけでなく、 日本の社会あるいは日本の社会を典型とする 高度な資本主義社会というものが こへ行くのかを追求することになると思います。 そして、東京は高度な資本主義社会にも関わらず、 成り立ちからいうと東洋的な都市の起源を 含んでいるわけですから、 これがどこへ行ってしまうのかを示唆するという意味でも、 とても重要な問題のような気がします。 この講演のテキストを読む...
Aug 14, 2015•58 min
【A098】ぼくの見た東京 時間:121分 音質:2 ジャンル:情況 講演日時:1987年1月17日 主催:中央区立京橋図書館 場所:中央区役所 8階大会議室 収載書誌:弓立社『像としての都市』(1989年) 音源について 「東京を語る会」の 第50回記念講演として行われた。 音源はVHSテープから 音声データを抜き出したもの。 講演冒頭部分が欠けている。 講演より 東京に住んでいる人が東京を見る見方というのは、 ひとりひとり違うと思います。 その人の住んでいる町ないし都会に対する見方を 決定するものは、ふたつあると思います。 ひとつは、幼児期あるいは少年期の町の体験です。 もうひとつは、青春期に入ってから体験した 他の町のことです。そのふたつのことが、 都市を見る見方を大きく決めるんじゃないかと思われます。 僕の場合それは、新佃島というところにいたことと、 青春期に東京を離れたという体験になります。 そうした体験から、ご承知の通り 子どものときとは比べものにならないくらい 大都市になった現在の東京を、 僕がどう見るかという見方の場所に 出て行きたいと思います。 この講演のテキストを読...
Aug 14, 2015•2 hr 1 min
【A144】わが月島 時間:82分 音質:3 ジャンル:情況 講演日時:1992年10月31日 主催:中央区立月島図書館 場所:中央区立月島図書館 収載書誌:弓立社『吉本隆明全講演ライブ集 わが月島』(2004年) 音源について 主催者から提供を受けた VHSテープから 音声データを抜き出したもので、 クリアに収録されている。 講演より 月島の歴史をひもといて見ていくと、 日本の明治以降の近代の、 封建時代から超現代的なところまで 駆け足で通り過ぎてしまった歴史を、 非常によく象徴的にあらわしていると思います。 僕も子どものときの町で懐かしいですから、 初期の月島のイメージと思い出に浸ることも たくさんあるんですが、実際問題としていいますと、 月島というのはそういうところを通り過ぎていて、 途方もないところに入って、それを背負っているんだよ、 ということを考えたほうがよろしいんじゃないでしょうか。 かつての初期の月島、佃島を振り返ると 懐かしさもひとしおですし、 否定性もひとしおだとなると思いますが、 それがいちばんよろしいんじゃないかと思えます。...
Aug 14, 2015•1 hr 23 min
【A011】人間にとって思想とは何か 時間:128分 音質:2 ジャンル:思想 講演日時:1967年11月21日 主催:國學院大学文芸部 共催・國學院大学文化団体連合 場所:国学院大学412教室 収載書誌:勁草書房『吉本隆明全著作集14』(1975年) 音源について 校内放送をはじめ周辺のノイズが 多く入っており音質はよくない。 質疑応答も途中で切れている。 講演より 個人幻想と共同幻想の差異、そして 家族という対幻想から共同幻想への展開には 断層と飛躍の契機があります。 文学芸術という個人的な幻想の世界から、 共同性の問題にとびつく国家と政治というものに至る 道程というものが、いかに長く、 いかに手続きを要するかを考えてみますと、 政治と文学を単純に結びつける考え方が いかにでたらめであるかということがわかります。 そういうことが、表現としての言語の理論というものを 追求させた非常に根本的なモチーフなんです。...
Jul 31, 2015•2 hr 9 min
【A007】自立的思想の形成について 時間:63分 音質:2 ジャンル:情況 講演日時:1967年10月30日 主催:岐阜大学 場所:岐阜大学 収載書誌:勁草書房『吉本隆明著作集14』(1972年) 音源について 明治大学駿台祭での講演。 音源は客席から録音されたもので 音質はあまりよくない。 講演より 私どもの考えでは、〈経済的範疇〉、 いいかえれば〈自然的範疇〉というものは 必ず〈幻想的な範疇〉を生み出していきます。 人間が外部の〈自然〉に関わると、 必ず〈幻想性〉を発生させるわけです。 人間の意識にやってくる〈自然的範疇〉は 必ず〈幻想性〉を伴うから、〈国家の経済的範疇〉は、 必ず〈共同幻想としての国家〉を生み出します。 そういう国家の共同幻想性と本質的に対決しうる 唯一のものは、個人幻想です。 文学芸術に属する個人幻想というものだけが、 本質的な意味で、国家の共同幻想性というものに 対峙することができるわけです。 知識人が、「法的言語に対して〈沈黙の意味性〉でもって 服従している大衆」を、 自分の思想のなかに組み込むという問題が可能であるとき、 かろうじて知識人の共同性としての...
Jul 31, 2015•1 hr 4 min
【A003】国家・家・大衆・知識人 時間:80分 音質:3 ジャンル:思想 講演日時:1966年10月31日 主催:大阪市立大学社会思想研究会/大阪市立大学新聞会 場所:大阪市立大学 収載書誌:徳間書店『情況への発言』(1968年) 音源について 年代は古いが クリアに収録されている。 講演より 〈大衆の原型〉というのは、 自己の生活の繰り返しの範囲でしか 自分の考えを動かさないということです。 大衆はどういう歴史のくぐり方をしてきたかを 考えてみますと、たとえば中野重治の 「村の家」という作品に出てくるような おやじさんというのは、一面でいうと 赤紙がくれば即座に応じて兵隊となって戦争へいき、 自分の命がなくなっても戦争をやる。 そしてある場合には戦争をやり過ぎて、 軍部上層の意図を超えて残虐行為もやってしまう。 つまり、〈大衆の原型〉は、国家から支配されれば 支配のままに揺れ動くとともに、本当の意味では 国家と接触さえもしていない存在として考えられます。 そのことは、大衆が近代的意識を 乗り越えてしまう基盤を持つひとつの契機を なすのではないか、という考え方も成り立ちえます。 知識...
Jul 31, 2015•1 hr 20 min
【A002】自立の思想的拠点 時間:74分 音質:3 ジャンル:情況 講演日時:1966年10月29日 主催:関西学院大学 場所:関西学院大学 収載書誌:徳間書店『状況への発言』1968年 音源について 関西学院大学 創立77周年記念祭での講演。 年代は古いが比較的クリアに 収録されている。 講演より おそらくみなさんは、自分自身を 知識人じゃないと考えているかもしれませんし、 知識人と考えたって、「お前とおれは違う」と 思っているかもしれません。 けれど、僕のいう知識人という本質概念からすれば、 みなさんは明らかに知識人なんです。 なぜならば、日常食って生活して、 また労働力を再生産してというだけじゃなくて、 余計なことを考えているわけですから。 みなさんがどういう政治イデオロギーを有し、 どういう政治的潮流に属し、 あるいは政治的無関心であろうとも、 そんなことに関わりなく、否応なしに 現実の諸問題というものが自分のところに 覆いかぶさってくるという位相を、 避けて欲しくないと思います。 そういうことを避けることができない者こそ、 本来の知識人である、それが知識人の思想的課題である...
Jul 31, 2015•1 hr 14 min
【A182】ふつうに生きるということ 時間:79分 音質:5 ジャンル:思想 講演日時:2003年9月13日 主催:ほぼ日刊イトイ新聞 場所:東京国際フォーラム ホールC 収載書誌:ぴあ『智慧の実を食べよう。』(2003年) 音源について ほぼ日刊イトイ新聞 創刊5周年として開かれたイベント 「智慧の実を食べよう。 300歳で300分」 の講演。他の講演者には、 詫摩武俊氏、藤田元司氏、 小野田寛郎氏、谷川俊太郎氏。 音源はライン録音でクリア。 講演より 僕は、ふつうに生きている人、 あるいはそういう生き方を すでにやっている人の生き方が、 いちばん価値ある生き方だと、理想としています。 何かを膝にかけて、一日黙りこくって細工物をしている、 何かのデザインを描いたり、 染織物をしたりして、一日終わる。 日常いつでもありふれたことなんですけど、 そういうことで一日を送っているような人が テレビなんかに出てくると、 これは偉い人だよ、たいしたもんだよと思って、 おれもまねしたいもんだなと思うわけです。...
Jul 31, 2015•1 hr 20 min
【A122】宮沢賢治の実験 時間:181分 音質:3 ジャンル:文学 講演日時:1989年11月12日 主催:森集会 場所:芦屋市民センター 収載書誌:春秋社『本当の考え・うその考え』(1997年) 音源について ことばをひらく会の主催による講演 「イメージとしての都市」の、 午前中から行われた講演。 音源は主催者提供。 講演の冒頭部分が若干欠けている。 講演より 科学的にいって、死んだ後の世界があって、 そこに魂がいくという考え方を是認することは どうしてもむずかしい。 もし「本当の考え」と「うその考え」とを 分けることができる実験の方法さえ決まれば 解決するでしょうが、 それはどうしたらいいのかわからない。 糸口は自分なりにつけてはみたんだけど、 そこで完全に解けたといえないところで、 宮沢賢治は終わったと思います。 「その実験の方法さえ決まれば」 という言葉はとても重要で、 それは日蓮もいわなかったし、 もちろん最澄も智ギもいわなかったことで、 宮沢賢治だけがいった言葉です。...
Jul 17, 2015•3 hr 2 min
【A177】いじめと宮沢賢治 時間:187分(うち質疑応答58分) 音質:3 ジャンル:文学 講演日時:1996年5月11日 主催:高崎哲学堂 場所:群馬県高崎市 高崎ビューホテル 収載書誌:未発表 音源について 群馬県高崎市の文化振興に取り組む 高崎哲学堂が月1回著名人を招いて 開く催しでの講演。 この年は宮沢賢治の生誕百年。 周辺のノイズが入っているが 比較的クリアに収録されている。 司会の最後の挨拶の途中で テープが切れる。 講演より 子どものいじめの世界は、 宮沢賢治の童話が描いているなかに ぜんぶ入ってしまうと思います。 その範囲を出てしまういじめというのは ちょっと考えられないのではないかというくらい 用意周到に描かれています。 これは宮沢賢治の宗教意識にもよりますし、 いじめた経験はないけれどもいじめられた経験はある、 ということにもとづいていると思います。 宮沢賢治のなかでは、僕らが考えているよりも ひと回り大きく精神の範囲がとられていて、 そのなかで考えているから、 救いが出てくるということになるのではないかと思います。 この講演のテキストを読む...
Jul 17, 2015•3 hr 8 min