久しぶりにピアノ曲を取り上げます。まずはクロード・ドビュッシー作曲の『レントより遅く』。 意外と知られていませんが、20世紀初頭フランスはピアノ先進国で、プレイエル、エラール、ガヴォーの三大ピアノメーカーがしのぎを削っていました。そのうちエラールのピアノは日本にももたらされ、現存4台のうち1台は赤坂の迎賓館に、もう1台は燕三条にあり、この2台は今でも演奏されています。 「レント」はフランス語でlent、表層記号で「遅く」の意味ですが、それよりも遅く弾くことを意図したのではなく、当時のパリで人気を博していた「遅いワルツ(valse lente)」のことを皮肉を込めてこのようにタイトルで表したようです。 中田昌樹さんの Facebook では番組内の内容...
Jun 27, 2025•19 min•Season 5Ep. 204
200回記念の最後は、世界で最も有名なジョルジュ・ビゼー作曲のオペラ『カルメン』です。ポピュラー音楽のヒット曲さながら、誰もが一度は聴いたことのある曲ばかりですが、今回は主役の出番ではない箇所を中心にお届けします。 パリのオペラ・コミック座から委嘱されたこの『カルメン』。ハッピーエンドが定番なこの劇場のレパートリーとは異なり、最後に人も殺されてしまうオペラに、支配人は怒り心頭でしたが、それとは裏腹にこの作品は徐々に人気を得ていきます。さらに、歌と歌の間を繋ぐセリフをレチタティーヴォに変え、グランド・オペラの形式にしたことで、一層の成功を収めます。 番組後半では、故栗山昌良版『カルメン』の独創的な発想の演出にも触れています。 中田昌樹さんの Facebook ...
Jun 27, 2025•25 min•Season 5Ep. 204
200回記念の第三弾は、それまでのフランスの伝統的なオペラとは性格を異にするクロード・ドビュッシー作曲のオペラ『ペレアスとメリザンド』です。 ドビュッシーは、ベルギーの劇作家モーリス・メーテルリンクが書いた戯曲を、台詞をほぼそのまま変えずに、フランス語のテキストの抑揚や言葉の長さをそのまま音符に写し、作曲したと言われています。 全曲を通じて調性感が薄く、戯曲そのままに神秘のベールに包まれたようなサウンドです。また第五幕冒頭は、三人の男声のそれぞれ異なる性格の微妙さを見事に特徴付けています。 中田昌樹さんの Facebook では番組内の内容をさらに視覚的にも拡めています。ぜひご覧ください。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】クロード・ドビュッシー作曲オペラ...
Jun 13, 2025•23 min•Season 5Ep. 202
200回記念の第二弾はカミーユ・サン=サーンス作曲のオペラ『サムソンとデリラ』です。 パストラーレ(牧歌)を源流にするというオペラは長い歴史があります。フランスのオペラは、太陽王ルイ14世が踊りの名手だったためか、ダンスとの組み合わせで演じられるという独自の進化を遂げます。演目も、当初は聖書や歴史を題材にしたものに限られました。 サン=サーンスも旧約聖書からサムソンとデリラを取り上げたわけですが、その真面目な内容の物語の中に、ドイツ的な機能和声を用いながらも、馥郁(ふくいく)たるサウンドに仕上げたのは見事というほかありません。 中田昌樹さんの Facebook では番組内の内容をさらに視覚的にも拡めています。ぜひご覧ください。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏...
Jun 06, 2025•33 min•Season 5Ep. 201
4年前に始まったこの番組も、はや200回を迎えました。この番組の出発点となったフランス・オペラのレクチャーコンサートを振り返り、原点に立ち返って今週から4回に渡り「歌もの」を特集します。 1回目はシャルル・グノーのオペラ『ファウスト』から『宝石の歌』。この上なく美しい旋律のこの歌に思わずうっとりするほどですが、美しいだけに歌も演奏も想像以上にとても難しい作品なのです。 ちなみに、ヴァチカン市国の国歌に準じて演奏される教皇賛歌はグノーの作曲です。 中田昌樹さんの Facebook では番組内の内容をさらに視覚的にも拡めています。ぜひご覧ください。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】シャルル・グノー作曲オペラ『ファウスト』より「宝石の歌」 マルユッカ・テッポネン/ソプ...
May 30, 2025•20 min•Season 5Ep. 200
アルベール・ルーセルのバレエ音楽『蜘蛛の饗宴』の最終回です。 この作品の最後に登場する虫、カゲロウを取り上げます。 透き通るような色のカゲロウが優雅に飛ぶ姿、蜘蛛によってその儚い命が潰えてしまう様子が見事に活写されています。最後には庭が優しく葬送を執り行い、カゲロウを見送り、饗宴は幕を閉じます。小編成の曲でありながら、楽器の使い方の妙やテクニックの多様性が随所に見られ、メリハリのある作品となっています。 中田昌樹さんの Facebook では番組内の内容をさらに視覚的にも拡めています。ぜひご覧ください。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】アルベール・ルーセル作曲バレエ音楽『蜘蛛の饗宴』より「カゲロウの踊り」「カゲロウの死」「カゲロウの弔い」 ステファヌ・ドゥネーヴ指揮...
May 23, 2025•8 min•Season 5Ep. 199
先週に引き続き、アルベール・ルーセル作曲の『蜘蛛の饗宴』をお届けします。 前回は庭や庭を訪れる蝶の様子が描かれていましたが、ここでようやく「主役」である蜘蛛が登場。獲物を待ち構えるリアルな情景が、巧みな音像で見事に映し出されます。 印象派のドビュッシーの影響があると言われているルーセルですが、ここではシンプルながら的確に虫たちの動きを音符に写しとっていて、むしろ具象的ではないかと思えるほどです。 中田昌樹さんの Facebook では番組内の内容をさらに視覚的にも拡めています。ぜひご覧ください。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】アルベール・ルーセル作曲バレエ音楽『蜘蛛の饗宴』より「蜘蛛の喜び - 蜘蛛の踊り」「2匹の戦闘的なカマキリ」「アリのロンド」 ステファヌ・ドゥネ...
May 16, 2025•11 min•Season 5Ep. 198
『交響曲第三番』に続き、同じくアルベール・ルーセル作曲の『蜘蛛の饗宴』を今週から3回にわたってご紹介します。 海軍士官ならではとも言える軍楽隊調な箇所が随所に散りばめられた『交響曲第三番』とは打って変わって情景描写が巧みなのがこの『蜘蛛の饗宴』です。 ルーセルはまず聴衆を庭に誘ってから、その庭で繰り広げられる虫たちの行動、やがて蜘蛛が登場し虫を餌に宴に興じる様子を見事に活写しています。 中田昌樹さんの Facebook では番組内の内容をさらに視覚的にも拡めています。ぜひご覧ください。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】アルベール・ルーセル作曲バレエ音楽『蜘蛛の饗宴』より「前奏曲 - 庭」「アリの入場」「かぶと虫の入場 - 蝶の踊り」 ステファヌ・ドゥネーヴ指揮/指揮 ロイヤ...
May 09, 2025•8 min•Season 5Ep. 197
アルベール・ルーセル作曲『交響曲第三番』の最終回、第四楽章をご紹介します。 古典的な四楽章形式を踏襲しつつも、各楽章、それぞれの形式感は多様で、第四楽章も諧謔的な第三楽章を彷彿とさせる快活で楽しくなる楽章です。 中田昌樹さんが師事していた指揮者ピエール・デルヴォーがこの曲を得意としていたのは、名匠シャルル・ミュンシュと同じ系譜の、その鋭いリズム感と軽快なテンポ感を持ち合わせていたからなのかも知れません。 中田昌樹さんの Facebook では番組内の内容をさらに視覚的にも拡めています。ぜひご覧ください。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】アルベール・ルーセル作曲『交響曲第三番』ト短調 第四楽章 ステファヌ・ドゥネーヴ指揮/指揮 ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団/演奏 ...
May 02, 2025•12 min•Season 5Ep. 196
前回に引き続きアルベール・ルーセル作曲『交響曲第三番』をお届けします。 軍楽隊調的な第一楽章とは大きく異なり、この第二楽章は対位法を巧みに用いながら、トランペットが3本とも弱音器を使用して木管楽器的な音像を奏でるように書かれていたりと、古典的な形式を踏襲しながらも、独自かつ多様性あるサウンドを追求しているような印象があります。 ボストン交響楽団創立50周年記念として、まだ世に知られていないルーセルに曲を委嘱したセルゲイ・クーセヴィツキーの慧眼には脱帽です。 中田昌樹さんの Facebook では番組内の内容をさらに視覚的にも拡めています。ぜひご覧ください。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】アルベール・ルーセル作曲『交響曲第三番』ト短調 第ニ楽章 ステファヌ・ドゥネーヴ指揮/指揮...
May 02, 2025•12 min•Season 5Ep. 194
今週もアルベール・ルーセル作曲『交響曲第三番』をご紹介します。 第三楽章は古典形式のシンフォニーであればスケルツァンド(諧謔的)にあたる楽章ですが、これをルーセルは生き生きと軽やかな楽曲に書き上げました。 ハープがクレッシェンドしながら高音に向かっていく箇所など、ルーセルと親交のあったサティの作風を思わせるようなところがあったり、通常であればシンクロするティンパニとバスドラムがそれぞれ別々に奏でるようにしていたり、あるいはトランペットがソロでも弱音器をつけてわざと華やかさを出さないようにしていたりと、ルーセルならではのとてもユニークな作品です。 中田昌樹さんの Facebook では番組内の内容をさらに視覚的にも拡めています。ぜひご覧ください。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】アル...
Apr 25, 2025•20 min•Season 5Ep. 195
今週から4回にわたってアルベール・ルーセル作曲の『交響曲第三番』をお届けします。 音楽家としての才を認められながら、海軍士官学校に進み、従軍の後にスカラカントゥルムで作曲を学んだという変わった経歴の持ち主のルーセル。 そのためか、この『交響曲第三番』は、同時代のドビュッシーの横に広がるような作品とは全く異なり、縦の線が強調されたいわば「軍楽隊調」の曲となっています。 ただ、かちっとした音楽の中にも、綺麗な旋律がところどころ顔の覗かし、メランコリックな気持ちにさせてくれる不思議な作品です。 中田昌樹さんの Facebook では番組内の内容をさらに視覚的にも拡めています。ぜひご覧ください。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】アルベール・ルーセル作曲『交響曲第三番』ト短調 第一楽章 ステファヌ・...
Apr 11, 2025•11 min•Season 5Ep. 193
若くして才能を見出されたジョルジュ・ビゼー『子ども遊び』の2回目です。 原題は『小組曲』というだけにオーケストラは小編成ですが、打楽器が多く用いられていたり、扱いが厄介であったホルンを自在に使いこなしたりと、多彩な楽器編成の管弦作品となっています。 短い曲の中には、ビゼー独特の「変化球的」な巧みな転調が用いられ、音楽の表情がさまざまに移り変わる様子が感じられます。これが後にビゼーの代表作となるオペラ『カルメン』で見事に結晶化されるのです。 中田昌樹さんの Facebook では番組内の内容をさらに視覚的にも拡めています。ぜひご覧ください。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】ジョルジュ・ビゼー作曲小組曲『子どもの遊び』より- 第3曲 即興曲(こま)、 第4曲 デュオ(小さな旦那様、小さな奥様)、第...
Apr 04, 2025•18 min•Season 5Ep. 192
若くして才能を見出されたジョルジュ・ビゼー『子ども遊び』をご紹介します。 もともとは12曲からなるピアノ連弾曲だったものを、ビゼー自身が5曲を選んで編曲したのがこの作品です。 ちなみに、ピアノ連弾曲はビゼーの妻、ジュヌヴィエーヴの従兄弟の娘マルグリットちゃんと、ジュヌヴィエーヴの友人の娘のファニーちゃんに献呈されています。 中田昌樹さんの Facebook では番組内の内容をさらに視覚的にも拡めています。ぜひご覧ください。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】ジョルジュ・ビゼー作曲小組曲『子どもの遊び』より- 第1曲 ラッパと太鼓(行進曲)、 第2曲 お人形(子守歌) レナード・スラットキン/指揮 フランス国立リヨン管弦楽団/演奏 イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行 【提供】...
Mar 28, 2025•14 min•Season 5Ep. 191
モーリス・ラヴェル生誕150年記念として、聞く機会のない作品を紹介するシリーズの最終回は、『シェヘラザード』(声と管弦楽版)』の中から第2曲「魔法の笛」をお届けします。 この作品は3曲から成り、それぞれ異なる情景を描いているとはいえ、共通しているのは、細心の注意を払いながら、ドイツ的な機能和声では、理論上禁則とされている「並行八度」(2声が同時に進行する時、完全八度並進行になる)を用いて、どれもとても滑らかで揺蕩うようなさらさらとした空気感を醸し出している点です。 初演は、フランス人作曲の作品を積極的に演奏していくことを目的に設立された「フランス国民協会」の第371回定期演奏会として、ピアニストとしても著名なアルフレッド・コルトー指揮で行われました。 中田昌樹さんの Facebook では番組内の内容をさ...
Mar 21, 2025•13 min•Season 5Ep. 190
モーリス・ラヴェル生誕150年記念の3回目は『シェヘラザード、おとぎ話への序曲』をお届けします。 タイトルに「序曲」とあるのは、もともとオペラを構想していたからですが、ラヴェル自身が指揮をした初演が酷評を受けたため、その後オペラ作品は作られなかったという曰くつきの作品です。 リムスキー・コルサコフの『シェヘラザード』から大きな影響を受けているだろうこの曲がオペラとなっていたら、どんな作品になっていたか、想像すると楽しいかもしれません。 中田昌樹さんの Facebook では番組内の内容をさらに視覚的にも拡めています。ぜひご覧ください。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】モーリス・ラヴェル作曲『シェヘラザード、おとぎ話への序曲』 レナード・スラットキン/指揮 フランス国立リヨン管弦楽団/演奏 イントロ&エンデ...
Mar 14, 2025•18 min•Season 5Ep. 189
1875年3月7日バスク地方のシブールで生まれたモーリス・ラヴェルの生誕150年を記念して、聞く機会の少ない作品の一つ『スペイン狂詩曲』を紹介します。今回はその2回目で第4曲の「祭り」です。 スペインの祭りの日の賑わいや、緩やかで、ちょっと気怠い夜の空気感が表現され、「スペイン人よりもスペインらしい曲を書く」と言われるこのラヴェルのサウンドは、色彩感に溢れ『ダフニスとクロエ』に至る、さらなる豊潤な響きを予感させます。 書かれた年代の異なる第2曲「マラゲーニャ」を除き、前の楽章のテーマの断片がところどころ再現され、時間の経過を立体的に表現する手法は新鮮です。 中田昌樹さんの Facebook では番組内の内容をさらに視覚的にも拡めています。ぜひご覧ください。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】モーリス・ラヴェル作...
Mar 07, 2025•14 min•Season 5Ep. 188
1875年3月7日バスク地方のシブールで生まれたモーリス・ラヴェルの生誕150年を記念して、聞く機会の少ない曲を2週続けてお届けします。 ラヴェルが書いた2曲目のオーケストラ作品で、若々しく溌剌としたリズムと芳醇な響きは、のちの『ダフニスとクロエ』で拡張された表現を既に手中に収めている圭作ですが、演奏される機会が少ないのは果たして何故か...。いくつか考えられる訳がありそうです。 中田昌樹さんの Facebook では番組内の内容をさらに視覚的にも拡めています。ぜひご覧ください。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】モーリス・ラヴェル作曲『スペイン狂詩曲』より第2曲「マラゲーニャ」 レナード・スラットキン/指揮 フランス国立リヨン管弦楽団/演奏 イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行 【提供】笹...
Feb 28, 2025•17 min•Season 5Ep. 187
ジョルジュ・ビゼーにその才能を見出され、パリのサロン文化で育まれていったフランスの女性作曲家、セシル・シャミナードの2回目です。 父親に職業音楽家になる道を阻まれながらも、ピアニストとしてヴィクトリア女王やルーズベルト大統領のために御前演奏を行ったという稀有な経験を持ち、リストをして「ショパンを彷彿とさせる」と言わしめた才能の持ち主でもありました。 演奏はカンペール在住のピアニスト、 成嶋志保 さんで、あまり知られていない作曲家の作品や、著名な作曲家でもあまり知られていない作品を積極的に紹介しています。 中田昌樹さんの Facebook では番組内の内容をさらに視覚的にも拡めています。ぜひご覧ください。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】セシル・シャミナード作曲『主題と変奏』 成嶋志保/ピアノ イントロ&エンディン...
Feb 21, 2025•15 min•Season 5Ep. 186
ジョルジュ・ビゼーにその才能を見出され、パリのサロン文化で育まれていったフランスの女性作曲家、セシル・シャミナード。 父親に職業音楽家になる道を阻まれながらも、ピアニストとしてヴィクトリア女王やルーズベルト大統領のために御前演奏を行ったという稀有な経験を持ち、リストをして「ショパンを彷彿とさせる」と言わしめた才能の持ち主でもありました。 演奏はカンペール在住のピアニスト、 成嶋志保 さんで、あまり知られていない作曲家の作品や、著名な作曲家でもあまり知られていない作品を積極的に紹介しています。 中田昌樹さんの Facebook では番組内の内容をさらに視覚的にも拡めています。ぜひご覧ください。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】セシル・シャミナード作曲『プロヴァンスの詩』より「孤独」 成嶋志保/ピアノ イントロ&エンディング...
Feb 14, 2025•14 min•Season 5Ep. 185
小澤征爾氏1周忌として今週もベルリオーズのレクイエムに思いを馳せたいと思います。 それまでの作曲家の多くは、ピアノで弾く限られた音像の中で作曲してきましたが、ベルリオーズはより立体的なサウンドが頭の中に鳴り響いたに違いなく、圧巻の『死者のための大ミサ曲(レクイエム)』が生み出されました。ベルリオーズの幼少期、身近にピアノが無かった事が幸いしたのでしょうか。 オーケストラがあまりに大規模な編成であり、当時、死者を弔うには相応しくないとの批判もあったようですが、この曲がなければ、ヴェルディの名作『レクイエム』も誕生しなかったに違いありません。 中田昌樹さんの Facebook で小澤征爾/ボストン交響楽団の日本公演の映像がご覧になれます。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】エクトル・ベルリオーズ作曲『死者のための大ミサ曲(レクイエ...
Feb 07, 2025•24 min•Season 5Ep. 184
2024年2月6日に小澤征爾氏が亡くなられて早くも一年が経とうとしています。そこで今週と来週は偉大なマエストロが得意にしていたベルリオーズの曲に思いを馳せたいと思います。 それまでの作曲家の多くは、ピアノで弾く限られた音像の中で作曲してきましたが、ベルリオーズはより立体的なサウンドが頭の中に鳴り響いたに違いなく、圧巻の『死者のための大ミサ曲(レクイエム)』が生み出されました。ベルリオーズの幼少期、身近にピアノが無かった事が幸いしたのでしょうか。 オーケストラがあまりに大規模な編成であり、当時、死者を弔うには相応しくないとの批判もあったようですが、この曲がなければ、ヴェルディの名作『レクイエム』も誕生しなかったに違いありません。 中田昌樹さんの Facebook で小澤征爾/ボストン交響楽団の日本公演の映像がご覧になれます。 【出演】...
Jan 31, 2025•17 min•Season 5Ep. 183
クロード・ドビュッシーとモーリス・ラヴェルの弦楽四重奏曲の最終章です。 高度な技術を要する弦楽四重奏曲の中でも、このラヴェルの弦楽四重奏は、特に最高度に凝縮された多彩なテクニックや音楽性が求められます。そこにはリムスキー・コルサコフの『管弦楽法』の影響が色濃く写っています。 一方ドビュッシーの方は、調性感も和声感もリズムも意外なほど保守的に作られています。ただその中でも、ふとした瞬間に後のラヴェルを彷彿とさせる和音が顔を覗かせます。 中田昌樹さんの Facebook では番組内の内容をさらに視覚的にも拡めています。ぜひご覧ください。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】クロード・ドビュッシー作曲 弦楽四重奏曲 ト短調 第4楽章 コダーイ・クァルテット/演奏 モーリス・ラヴェル作曲 弦楽四重奏曲 ヘ長調 第4楽章 コダーイ・クァルテット/...
Jan 24, 2025•16 min•Season 5Ep. 182
今週もクロード・ドビュッシーとモーリス・ラヴェルの弦楽四重奏曲をお届けします。 この第3楽章。ラヴェルは、どちらかと言えば地味な音色のヴィオラを、高い音域で演奏する事によって新たな存在感を作り出します。ドビュッシーの方は、ベルスーズ(子守唄)やエレジー(哀歌)といった抒情的なちょっとおとなしい雰囲気を持つ楽章となっています。 中田昌樹さんの Facebook では番組内の内容をさらに視覚的にも拡めています。ぜひご覧ください。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】クロード・ドビュッシー作曲 弦楽四重奏曲 ト短調 第3楽章 コダーイ・クァルテット/演奏 モーリス・ラヴェル作曲 弦楽四重奏曲 ヘ長調 第3楽章 コダーイ・クァルテット/演奏 イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行 【提供】笹川日仏財団...
Jan 17, 2025•17 min•Season 5Ep. 181
前回に続いてクロード・ドビュッシーとモーリス・ラベルの弦楽四重奏曲をお届けします。 二人の第2楽章は偶然にもどちらもピチカート奏法で綴られていますが、ドビュッシーの場合は分散和音やレガート奏法を用いて、ラヴェルの場合は張力の違いよる音色の変化や転調を用いて、豊かなサウンドが創り出されています。 中田昌樹さんの Facebook では番組内の内容をさらに視覚的にも拡めています。ぜひご覧ください。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】クロード・ドビュッシー作曲 弦楽四重奏曲 ト短調 第2楽章 コダーイ・クァルテット/演奏 モーリス・ラヴェル作曲 弦楽四重奏曲 ヘ長調 第2楽章 コダーイ・クァルテット/演奏 イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行 【提供】笹川日仏財団...
Jan 10, 2025•11 min•Season 5Ep. 180
新年明けましておめでとうございます。今月はクロード・ドビュッシーとモーリス・ラベルの弦楽四重奏曲をお届けします。 フランスの著名な作曲家たちは晩年に書くことが多い弦楽四重奏曲ですが、この二人の作品は比較的若い時に発表されています。同じ印象派とされる二人ですが、それぞれの作品には注目すべき違いがあります。 中田昌樹さんの Facebook では番組内の内容をさらに視覚的にも拡めています。ぜひご覧ください。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】クロード・ドビュッシー作曲 弦楽四重奏曲 ト短調 第1楽章 コダーイ・クァルテット/演奏 モーリス・ラヴェル作曲 弦楽四重奏曲 ヘ長調 第1楽章 コダーイ・クァルテット/演奏 イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行 【提供】笹川日仏財団...
Jan 03, 2025•20 min•Season 5Ep. 202
先週に続いて、ギュスターヴ・シャルパンティエの『ナポリ』をお届けします。 ローマ賞を受賞し、イタリア滞在の成果として書き上げたこの『ナポリ』は、通常の三管編成に加えて、バス・クラリネット、4本のバッスーン(日本語表記はバッソーン)、アルト・サクソフォン、トランペットとコルネット2本ずつが用いられています。 華やかで明るいサウンドを出すために、コルネットが使われており、柔らかくも力のあるサウンドが生み出されています。 また、ほとんど同じ音域を演奏しているサクソフォン、ビオラ、チェロが、それぞれ違う音色を奏でているのは必聴です。 中田昌樹さんの Facebook では番組内の内容をさらに視覚的にも拡めています。ぜひご覧ください。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】ギュスターヴ・シャルパンティエ作曲 組曲『イタリアの印象』第5楽章 ナポリ オンドレイ・レナ...
Dec 27, 2024•15 min•Season 4Ep. 178
今週から2回続けて、ギュスターヴ・シャルパンティエの『ナポリ』をお届けします。 フランス北部のトゥルコアン(Tourcoing)でパン職人の息子として生まれたシャルパンティエは、成績優秀で故郷の町から奨学金を得て、21歳の時パリの国立高等音楽院に進学します。 27歳でローマ賞を受賞し、イタリア滞在の成果として書き上げたのがこの『ナポリ』です。のちに4つの楽章を加えて、5楽章から成る組曲『イタリアの印象』に仕上げました。 今回お聞きいただく部分には、ナポリの少し激しい感じのする「タランテラ舞曲」の合間に、歌うような陽気な雰囲気の民謡が挿入されています。 中田昌樹さんの Facebook では番組内の内容をさらに視覚的にも拡めています。ぜひご覧ください。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】ギュスターヴ・シャルパンティエ作曲 組曲『イタリアの印象』第5楽章 ナ...
Dec 20, 2024•14 min•Season 4Ep. 177
今週もピアニストの深尾由美子さんをゲストに迎え、セヴラックの曲をお届けします。 セヴラックの創造活動には思い出がとても重要な役割を果たしています。アルフレッド・コルトーに「最高傑作」と言わしめた曲集『セルダーニャ』の「リィビアのキリスト像の前のらば引きたち」は、セヴラックが敬愛していたアルベニスへの思いが込められた作品です。 セヴラックの全ピアノ作品とその創作思想について分析した『セヴラック 追憶の変奏曲』が2025年1月中旬、春秋社より刊行予定。 出版を記念し、1月12日(日)15時より、静岡のグランシップ中ホールにて、深尾由美子トーク&ピアノコンサート「南仏の風に乗せて-デオダ・ド・セヴラックの世界」が上演されます。 深尾由美子 博士(音楽)。桐朋学園大学ピアノ科卒業後、ヨーロッパ各国でピアノソロ、室内楽の研鑽を積み、フランス国立リヨン地方音楽院修了。これまでに「セヴラック、失われた時の音楽」、ヴァイオリニストのジェラール・プーレとの「ピレネーの太陽」をリリースするほか、「セヴラック・ピアノ作品全集vol. 1~4」をナクソス・ミュージック・ライブラリー、Spotify、Apple...
Dec 13, 2024•23 min•Season 4Ep. 176
セヴラックの全ピアノ作品とその創作思想についての分析『セヴラック 追憶の変奏曲』(2025年1月中旬、春秋社より刊行予定)の著者でピアニストの深尾由美子さんをゲストに迎え、セヴラックについて語り尽くします。 深尾由美子 博士(音楽)。桐朋学園大学ピアノ科卒業後、ヨーロッパ各国でピアノソロ、室内楽の研鑽を積み、フランス国立リヨン地方音楽院修了。これまでに「セヴラック、失われた時の音楽」、ヴァイオリニストのジェラール・プーレとの「ピレネーの太陽」をリリースするほか、「セヴラック・ピアノ作品全集vol. 1~4」をナクソス・ミュージック・ライブラリー、Spotify、Apple Musicで好評配信中。 中田昌樹さんの Facebook では番組内の内容をさらに視覚的にも拡めています。ぜひご覧ください。 【出演】中田昌樹(指揮者) 【演奏】デオダ・ド・セヴラック作曲 『...
Dec 06, 2024•23 min•Season 4Ep. 175